格安SIMは月額料金の安さばかりが目立ちますが、「とにかく安いところ」という理由だけで契約先を選んでしまうと、通信速度に不満を感じたり、想定より少ないデータ容量ですぐに速度制限にかかったりと、後悔につながるケースが少なくないと言われています。実際に乗り換えて後悔した人の多くは、格安SIMそのものに問題があったというより、契約前に自分の使い方を把握しないまま、料金表の一番安い数字だけを見て決めてしまっていたことが原因だったと考えられます。この記事では、初心者が格安SIMで失敗しないために契約前に確認しておきたい5つのチェックポイントを中心に、見落とされがちな「自分のデータ使用量の具体的な調べ方」や、MNP(番号そのまま乗り換え)の手順、家族割との比較、支払い方法の工夫まで、実際に行動できるレベルで整理していきます。
格安SIMで失敗する人に共通する3つのパターン
格安SIMへの乗り換えで後悔したという声を集めていくと、偶然ではなく、いくつかの共通したパターンが浮かび上がってきます。
- 月額料金の安さだけを基準にデータ容量を決めてしまい、動画視聴やテザリングが多い月に速度制限にかかり、結局データ容量を追加購入したり、より大きな容量のプランに変更したりして、当初想定していたほど安くならなかった
- サポート体制を確認せずに契約し、初期設定やトラブル発生時に自分で調べて対応する必要が生じた。格安SIMの多くはオンラインサポートが中心で、実店舗を持たない、または店舗数が限られる事業者が多いため、対面での相談を前提にしていた人ほど戸惑いやすい
- 現在の家族割・セット割でどれだけ割引を受けているかを計算せずに乗り換え、実質的な負担額で比較すると乗り換え前とほとんど変わらなかった。あわせてキャリアメールが使えなくなることに気づかず、メールアドレスを使って登録していた各種サービスの変更対応に追われた
この3つに共通しているのは、いずれも「契約前にひと手間確認していれば避けられた」という点です。次の章では、まず最初に確認すべき自分のデータ使用量の調べ方から見ていきます。
契約前に必ず確認する自分のデータ使用量の調べ方
格安SIMのプラン選びで最も重要なのは、実は料金表を眺めることではなく、自分が毎月どれくらいのデータ通信量を使っているかを正確に把握することです。感覚だけで「たぶん5GBくらい」と判断してプランを決めてしまうと、実際の使用量とズレが生じ、速度制限にかかったり、逆に使い切れない容量に払い続けたりする原因になります。スマートフォンの設定画面から、自分の直近のデータ使用量を確認する手順は次のとおりです。
iPhoneの場合
- 「設定」アプリを開き、「モバイル通信」(機種やiOSのバージョンによっては「モバイル通信システム」)をタップする
- 画面上部に表示される「現在の期間の合計」が、直近でカウントを開始してからのデータ使用量。ここに表示される期間は契約先の請求サイクルと自動的には一致しないため、月初などのタイミングで手動でリセットしておくと、翌月から正確な月間使用量を把握しやすくなる
- 画面を下にスクロールすると、アプリごとのデータ使用量の内訳も確認できる
Androidの場合
- 「設定」アプリを開き、「ネットワークとインターネット」(機種により「モバイルネットワーク」など名称は異なる)をタップする
- 「データ使用量」を選択すると、直近のモバイルデータ使用量がグラフと数値で表示される
- 「データ使用量の警告と上限」などの項目から、集計期間の開始日を契約先の請求サイクルに合わせて設定しておくと、実際の請求と比較しやすくなる
- アプリごとの内訳も同じ画面から確認できる
できれば直近1ヶ月だけでなく、2〜3ヶ月分の使用量を見比べて、月によるばらつきを確認しておくことをおすすめします。動画配信サービスをよく見る月と、自宅のWi-Fiだけで済ませている月とでは、データ使用量が数倍単位で変わることも珍しくありません。この「実測にもとづく使用量」こそが、次の章で紹介するプラン選びの土台になります。
失敗しない格安SIM選びの5つのチェックポイント
自分のデータ使用量を把握したら、次は実際のプラン比較です。以下の5つのポイントを契約前に確認しておくと、料金の安さだけで判断して後悔するリスクを減らせると考えられます。
- データ容量は「使い切れる量」を選ぶ――前章で調べた実測の使用量に、多少の余裕(1〜2GB程度)を加えた容量を目安にする。使い切れない大容量プランは、単に払いすぎになっているだけの可能性がある
- 通信品質・混雑時間帯の速度――格安SIMの多くは大手キャリアの回線を借りて提供されており(MVNOと呼ばれる形態)、お昼や夕方などの混雑時間帯に速度が低下しやすいと言われている。口コミだけに頼らず、契約前に短期間だけ試せるプランやお試し容量があるかも確認しておく
- サポート体制――オンライン完結の事業者が多いなか、実店舗でのサポートが必要かどうかを、自分のITリテラシーに照らして考える。初期設定に不安がある場合は、店舗サポートのある事業者や、電話サポートの対応時間を確認しておくと安心
- 契約期間・解約条件――以前は契約期間の縛りや高額な解約金が一般的だったが、近年は縛りのないプランを用意する事業者が増えてきているとされる。契約前に解約条件・違約金の有無を確認しておく
- 支払い方法とポイント還元――クレジットカード払いに対応しているか、対応している場合はポイント還元の対象になるかを確認する。この点は見落とされがちだが、年間で見ると意外と差が出るポイントであるため、後の章で詳しく解説する
| 3GB前後(ライトユーザー) | 大手キャリア目安 5,000〜7,000円 / 格安SIM目安 900〜1,500円 | 年間の差額目安 約48,000〜66,000円 |
| 10GB前後(標準的な使用量) | 大手キャリア目安 6,000〜8,000円 / 格安SIM目安 1,500〜2,500円 | 年間の差額目安 約54,000〜66,000円 |
| 20GB以上(ヘビーユーザー) | 大手キャリア目安 7,000〜9,000円 / 格安SIM目安 3,000〜4,000円 | 年間の差額目安 約48,000〜60,000円 |
上記はあくまで一般的な料金相場をもとにした目安であり、キャンペーンの有無やオプションの内容によって実際の金額は変動します。正確な試算をしたい場合は、前章で調べた自分の実測データ使用量をもとに、複数社の料金シミュレーションを比較することをおすすめします。
乗り換え(MNP)の具体的な手順とつまずきやすいポイント
プランを決めたら、次は今使っている電話番号をそのまま引き継ぐMNP(モバイルナンバーポータビリティ)の手続きです。流れ自体はシンプルですが、いくつかつまずきやすいポイントがあります。
MNPの手続きの流れ
- 現在契約中のキャリアから「MNP予約番号」を取得する。会員アプリ・Webサイト・電話・店舗のいずれかで発行でき、番号には有効期限(多くの場合発行日を含めて15日程度)が設定されている
- 乗り換え先の格安SIMに申し込み、取得したMNP予約番号を入力する。多くの事業者はオンライン申し込みが中心で、本人確認書類の提出もアプリで完結する場合が多い
- SIMカード(またはeSIMの場合は開通手続き用のQRコードなど)が届いたら、案内に沿って開通手続きを行う。この切り替えのタイミングで、短時間ながら通話・通信が一時的にできなくなる時間帯が発生することがある
- 開通後、端末にAPN設定(通信事業者ごとの接続設定)を行い、通信ができることを確認する。旧回線は多くの場合MNP手続きの完了とともに自動的に解約される
つまずきやすいポイント
- MNP予約番号には有効期限があり、期限切れが近いと乗り換え先での申し込みを受け付けてもらえない場合がある。予約番号は取得後、早めに申し込みまで進めるのが安心
- 使用している端末が、乗り換え先のSIMカードの周波数帯やeSIMに対応しているか、事前にメーカー・事業者の対応表で確認しておく必要がある
- 大手キャリアで購入した端末の場合、SIMロックの解除が必要なケースが残っている。契約中のキャリアのマイページなどで解除手続きの要否を確認しておく
- APN設定を済ませないと、SIMを差し替えても通信ができない状態になる。手順は各事業者の公式サイトに案内があるため、事前に目を通しておくとスムーズ
格安SIMに向いている人・向いていない人
ここまでの内容を踏まえると、格安SIMには向き不向きがあることが見えてきます。
向いている人の傾向:
- 自分のデータ使用量を把握しており、必要な容量が大きく変動しない人
- 初期設定やトラブル対応を、公式サイトのFAQやチャットサポートを使って自分で調べられる人
- 実店舗でのサポートを重視しない、またはオンライン対応に抵抗がない人
- キャリアメールをほとんど使っておらず、フリーメールへの移行に抵抗がない人
向いていない人の傾向:
- 通話中心で使っており、通話定額オプションの条件を重視する人(事業者によって条件・料金が大きく異なるため、比較の手間がかかる)
- 対面でのサポートを重視し、トラブル時にすぐ店舗で相談したい人
- キャリアメールを使って複数のサービスに登録しており、変更の手間を負担に感じる人
- データ使用量が月によって大きく変動し、把握しきれていない人(この場合はまず数ヶ月間、使用量を記録することから始めるのがおすすめ)
一人暮らしなら家族割との比較も忘れずに
実家暮らしから一人暮らしに切り替えたタイミングでは、これまで家族割の対象だった回線が単独契約になり、割引の恩恵を受けられなくなっている場合があります。この場合、格安SIMへの乗り換えと合わせて、そもそも家族割でどれだけ損をしているかを一度整理しておくと、比較の精度が上がります。具体的な料金差の試算や、一人暮らしならではの乗り換え時の注意点は「一人暮らしはスマホ家族割で損してる?格安SIM乗り換えで年間いくら浮くか」で詳しく整理していますので、あわせて確認してみてください。
支払いをクレジットカードにしてポイントも取りこぼさない
格安SIMは月額料金そのものが安いぶん、支払い方法によるポイント還元の差が、意外と見過ごされがちなポイントです。多くの格安SIM事業者はクレジットカード払いに対応しており、対応しているカードで支払えば、月々の利用料金分もポイント還元の対象にできる場合があります。せっかく固定費を下げても、支払い方法を口座振替のままにしてポイントを取りこぼしていては、もったいない話です。あわせて、複数の固定費の支払い日がバラバラだと家計管理も煩雑になりがちです。クレジットカードの締め日・支払日を給料日に揃える考え方や、他の固定費とあわせてカード払いに一本化する具体的な手順は「クレジットカードの締め日・支払日を給料日に揃える固定費管理術」で解説していますので、格安SIMへの乗り換えと合わせて確認しておくことをおすすめします。
契約前チェックリスト
- 設定アプリで直近2〜3ヶ月分の自分のデータ使用量を確認した
- データ容量・通信品質・サポート体制・契約期間・支払い方法の5点を比較した
- 現在のキャリアの家族割・セット割でどれだけ割引を受けているか計算した
- MNP予約番号の取得方法と有効期限を確認した
- 端末のSIMロック解除・対応周波数帯・eSIM対応を確認した
- クレジットカード払いに対応しているか、対応カードでポイント還元を受けられるか確認した
よくある疑問
格安SIMに乗り換えると年間いくら浮く?
データ使用量やプラン内容によって差はありますが、目安として月額3,000〜5,000円程度の差が出るケースがあるとされ、単純計算では年間で48,000〜66,000円程度の差になる可能性があります。ただしこれはあくまで一般的な料金相場をもとにした試算であり、実際の金額は現在契約中の割引状況や、乗り換え先で選ぶプランの容量によって変わります。前章で紹介した自分のデータ使用量の確認手順を踏まえたうえで、複数社の料金シミュレーションで試算することをおすすめします。
キャリアメールは使えなくなる?
格安SIMに乗り換えると、大手キャリアが提供するキャリアメールは、原則として使えなくなる、または有料の持ち運びサービスを利用しない限り使用できなくなる場合が多いとされています。銀行やクレジットカードなど、キャリアメールで登録しているサービスがある場合は、乗り換え前にフリーメールなど別のアドレスへの変更手続きを済ませておくと、乗り換え後の混乱を避けやすくなります。
格安SIMは通信速度が本当に遅い?
格安SIMの多くは大手キャリアの回線設備を借りて通信を提供する仕組み(MVNO)のため、回線そのものの性能が大手キャリアと大きく異なるわけではないとされています。ただし、お昼や夕方など利用者が集中する時間帯には、設備の混雑状況によって速度が低下しやすいとも言われています。動画視聴やオンライン会議を頻繁に行う人は、契約前に口コミや速度測定の情報を確認し、必要であれば大手キャリアの回線設備を自社で保有する事業者も比較検討の対象に含めるとよいでしょう。
まとめ
格安SIMは「安いから」という理由だけで選んでしまうと、データ容量の見誤りやサポート体制のミスマッチによって後悔につながりやすいサービスです。契約前に自分のデータ使用量を実際に確認し、データ容量・通信品質・サポート体制・契約期間・支払い方法という5つのチェックポイントを比較したうえで、MNPの手順とつまずきやすいポイントも押さえておけば、失敗のリスクは大きく減らせると考えられます。一人暮らしで家族割の対象外になっている場合は「一人暮らしはスマホ家族割で損してる?格安SIM乗り換えで年間いくら浮くか」、支払い方法やポイント還元をあわせて見直したい場合は「クレジットカードの締め日・支払日を給料日に揃える固定費管理術」もあわせて参考にしてみてください。スマホの通信費を見直したら、自宅のインターネット回線も同じタイミングで見直しておくと効率的です。「光回線の乗り換えは最短何日で開通する?工事不要ケースも解説」で開通までの流れを整理しています。固定費見直し全体の進め方は「固定費見直し完全ガイド」にまとめています。
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