AIマーケティングツールのデータ保存先を導入前に確認する方法|ブラウザ版とローカル版の違い
- AIマーケティングツールの導入前に確認したいのは、データの「保存先」「外部への送信」「削除と書き出し」「AIに渡る範囲」の4点。ここを見ずに入れると、あとで乗り換えにくくなる
- MOAIのブラウザ版は、データをそのブラウザの中(localStorage)にだけ保存し、外部に送らない。ローカル版は、自分のPCの
data/*.jsonに保存する。どちらもMOAIにサーバーはない - ただし、依頼文をChatGPTやClaudeに貼る、またはClaude Codeで自動実行する場合、依頼文の内容は各AIサービスに渡る。個人情報や機密は依頼文に入れない運用が必要
- ブラウザ版はブラウザの履歴・サイトデータの削除で消えるため、週1回の書き出しが前提
AIマーケティングツールを選ぶとき、機能や料金は比較しても、「データがどこに保存されるか」まで確認する人は多くありません。しかし、ブランドの方針、書きかけの記事、実績の数字、顧客に関する情報は、事業の資産です。保存先が分からないまま使い始めると、情報の取り扱いに迷ったり、乗り換えのときに取り出せなかったりします。
この記事では、導入前に確認したい項目をチェックリストにまとめ、無料のオープンソースツール「MOAI」のブラウザ版とローカル版を例に、保存先の違いを具体的に説明します。他社製品の仕様は個別に異なり、変わることもあるため、各サービスの公式ドキュメントとプライバシーポリシーで必ず確認してください。
導入前に確認する4つのポイント
| 確認項目 | 見るポイント | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 保存先 | データはベンダーのサーバーか、自分のブラウザか、自分のPCか | 公式ドキュメント、プライバシーポリシー、利用規約 |
| 外部への送信 | 入力した内容が、誰に・何のために送られるか(AIの学習への利用を含む) | プライバシーポリシー、データ取扱いの説明、設定画面 |
| 削除と書き出し | 自分でデータを削除・書き出せるか。解約後はいつ消えるか | ヘルプ、利用規約 |
| AIに渡る範囲 | AIへの依頼に、どの情報が自動で付くか | 設定画面、実際の依頼文の内容 |
4つのうち、見落とされやすいのが「AIに渡る範囲」です。ツールのデータが手元にあっても、AIに依頼した時点で、その依頼文はAIサービス側に送られます。保存先と送信先は、別々に確認します。
保存先は大きく3種類
| 保存先 | 特徴 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| ベンダーのサーバー(クラウド型) | どの端末からも使える。共同編集や自動連携がしやすい | データの保持期間・削除方法・学習への利用を規約で確認する。解約後の扱いも要確認 |
| 自分のブラウザの中 | 登録不要で使える。データが外に出ない | 履歴やサイトデータの削除で消える。別の端末・別のブラウザでは見えない |
| 自分のPCのファイル | データを自分で管理できる。バックアップも自由 | PCの故障・紛失に備えて、自分でバックアップを取る必要がある |
どれが優れているかではなく、運用の人数と、扱う情報の性質で選びます。複数人で同じ画面を編集するならクラウド型が向きます。1人で運用し、データを手元に置きたいなら、ブラウザやPCのファイルに保存するタイプが向きます。
MOAIのデータはどこに保存されるか
MOAIは2つのモードがあり、同じ画面で動きます。保存先は次のとおりです。
| ブラウザ版 | ローカル版 | |
|---|---|---|
| 使い方 | URLを開くだけ | 自分のPCにダウンロードして起動 |
| 必要なもの | なし | Node.js |
| 保存先 | そのブラウザの中(localStorage) | 自分のPCのファイル(data/*.json) |
| サーバー | なし | 自分のPCで動くローカルのサーバー(既定のポートは4173) |
| AIの自動実行 | なし(依頼をコピーしてAIに貼る) | あり(画面のボタンからClaude Codeを起動) |
| 消えるとき | ブラウザの履歴・サイトデータを削除したとき | ファイルを削除したとき |
どちらのモードでも、MOAIというサービス側にデータを集めるサーバーはありません。ブラウザ版のデータは、あなたのブラウザの中だけに保存されます。ローカル版では、データは data/ フォルダのJSONファイルに置かれ、画面が5秒ごとに読み直します。ローカル版は、インストール後にネットワーク接続が必要ない作りですが、AIへの依頼を自動実行する場合は、Claude Codeを通してネットワークを使います。
なお、ローカル版のデータは、リポジトリの設定でGitには含まれない扱いになっています。自分のデータを公開リポジトリに誤って載せないための配慮ですが、自分でリポジトリを改造して公開する場合は、データのフォルダを含めていないかを確認してください。
「外部に送られない」の範囲を正しく理解する
MOAIのデータはMOAIのサーバーに送られませんが、次の場面では、内容が他のサービスに渡ります。
- ブラウザ版で、依頼をコピーしてChatGPTやClaudeに貼るとき:貼り付けた文章は、そのAIサービスに送られます。取り扱いは各サービスの規約・設定に従います
- ローカル版で「▶ AIに実行させる」を押すとき:サーバーがClaude Codeを起動し、依頼文や設定の内容がAnthropicのサービスに渡ります。利用条件は公式の案内に従います
- ブラウザ版・ローカル版で、ブラウザのサイト自体を読み込むとき:公開サイトのページ(HTML・JavaScript)を読み込むための通信は発生します。入力した内容がそれによって送信されるわけではありません
つまり、「MOAIが保存するデータが外に出ない」ことと、「依頼文がAIサービスに渡る」ことは、別の話です。個人情報や機密情報は、依頼文や設定に入れないのが基本です。顧客の氏名やメールアドレスのような情報は、そもそもAIへの依頼に必要ないことが多く、入れない運用で十分に済みます。
依頼文に入れてはいけない情報の目安
| 入れてよい | 入れない(または伏せる) |
|---|---|
| ブランドの方針、トーン、禁止ワード | 顧客の氏名・連絡先・住所 |
| 公開済みの記事・投稿の文章 | 契約内容や取引先との未公開の取り決め |
| 公開されている競合の情報 | パスワード、APIキー、社内の認証情報 |
| 自分で集計した実績の数字(個人が特定されないもの) | 個人が特定できるアクセスログ、問い合わせ内容そのもの |
迷うときは、「その文章を、そのままブログに載せても困らないか」を基準にします。困るなら、AIの依頼文に入れないか、固有名詞を伏せた形に書き換えます。
削除と書き出し:データを失わないために
ブラウザ版のデータは、次の操作で消える可能性があります。
- ブラウザの履歴やサイトデータを消去したとき
- ブラウザの設定で、サイトデータの保存を許可していないとき
- 別のブラウザや別の端末で開いたとき(そこには見えないだけで、元のブラウザには残っている)
- プライベートウィンドウ(シークレットモード)を閉じたとき
対策は、設定画面からの書き出しです。書き出したファイルは、別のブラウザやローカル版に読み込めます。運用に次の習慣を入れてください。
- 週1回、実績を記録したあとに、設定画面からデータを書き出す
- 書き出したファイルは、日付をファイル名に入れて保存する(上書きせず、直近の数世代を残す)
- 月に1回、書き出したファイルを読み込めるか、別のブラウザで確かめる
ローカル版では、data/ フォルダをコピーしておけば、バックアップになります。ただし、ファイルを手で編集すると、画面がエラーになることがあります。更新は画面または同梱のCLI(node cli.js)から行います。
ブラウザ版とローカル版の選び方
| こんなとき | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| まず試したい、インストールしたくない | ブラウザ版 | URLを開くだけ。登録も不要 |
| 週2本程度で、コピー&貼り付けが苦にならない | ブラウザ版 | 手作業でも運用が回る |
| 依頼と承認の手間を減らしたい、本数を増やしたい | ローカル版 | 画面のボタンでAIが自動実行する |
| データを自分のPCのファイルとして持ちたい | ローカル版 | JSONファイルで保存され、バックアップも取りやすい |
| 端末をまたいで同じデータを見たい | どちらでも書き出しで移動 | 自動同期の機能はないため、ファイルで受け渡す |
ブラウザ版からローカル版へは、書き出し・読み込みでデータを引っ越せます。導入の流れはClaude Codeでマーケティングを自動化するやり方で、ステップごとに説明しています。選び方の全体像はAIマーケティングツールを無料・オープンソースで選ぶ基準も参考にしてください。
導入後に月1回やる見直し
保存先の確認は、導入前に一度やって終わりではありません。ツールの更新や運用の変化で、前提が変わることがあります。月に1回、次の5点を見直します。
- 書き出したファイルが、実際に読み込めるか(別のブラウザで試す)
- 依頼文や設定に、入れるべきでない情報が紛れ込んでいないか
- 使っているAIサービスの規約・設定(学習への利用など)に変更がないか
- ブラウザの自動クリーンアップ設定で、サイトデータが消えるようになっていないか
- ローカル版の場合、
data/フォルダのバックアップが最新か
この見直しは、10分もかかりません。ですが、データが消えたあとや、情報が意図しない場所に渡ったあとでは取り返せないため、小さな習慣として運用に入れておくことをおすすめします。
また、運用する人が自分1人ではなくなったときは、データの置き場所と扱い方のルールを文章にして共有します。誰がデータを書き出すのか、書き出したファイルをどこに置くのか、AIに貼ってよい情報の範囲はどこまでか。この3点を決めておくだけでも、情報の扱いのばらつきを減らせます。
他のツールを検討するときにも使える質問リスト
MOAIに限らず、AIマーケティングツールを導入する前に、ベンダーに聞くか、公式ドキュメントで探したい質問です。
- 入力したデータは、どこに保存されますか(国・事業者)
- 入力した内容は、AIの学習に使われますか。使われないようにする設定はありますか
- データを自分で書き出せますか。どの形式ですか
- 解約後、データはいつまで残り、いつ削除されますか
- データの削除を、自分で要求・実行できますか
- 第三者(連携先のサービスなど)に、データが共有されますか
- 障害や不具合でデータが失われたとき、復旧の手段はありますか
回答が見つからない、あいまいな場合は、重要な情報を入れずに試用だけして判断を保留する、という選択もあります。解約や乗り換えのときに何を書き出すべきかは、AIマーケティングツールを解約する前に書き出すデータでチェックリストにまとめています。
よくある質問
Q. MOAIに入力したデータは、開発者に見えますか
MOAIにはデータを受け取るサーバーがなく、ブラウザ版はあなたのブラウザの中、ローカル版はあなたのPCのファイルに保存されます。そのため、MOAIの側からあなたの入力内容が集められる仕組みはありません。ただし、前述のとおり、AIサービスに貼り付けた内容は、そのサービスに渡ります。
Q. ブラウザ版のデータが消えたらどうなりますか
書き出したファイルがあれば、設定画面から読み込めます。書き出しがない場合は復元できないため、週1回の書き出しを運用に入れてください。
Q. 会社のPCで使っても大丈夫ですか
社内の情報取扱いルールに従ってください。MOAIはデータを外部に送りませんが、依頼文をAIサービスに貼る行為が社内ルールで許されているかは、別に確認が必要です。
Q. 複数の端末で同じデータを使えますか
自動の同期機能はありません。書き出したファイルを、別の端末のブラウザやローカル版で読み込む形になります。同時に複数人が編集する運用には向いていません。
Q. 本当に無料ですか
MOAI自体はMITライセンスのオープンソースで、費用はかかりません。AIへの依頼に使うChatGPTやClaudeの利用料は、各サービスの料金体系に従います。
保存先が分かる状態で、無料で試す
ブラウザ版なら、データは自分のブラウザの中だけ。まず小さく試して、使い勝手と保存の仕組みを確かめられます。
ローカル版のソースコードは公開されているので、保存の仕組みも自分で確認できます。GitHubリポジトリから入手でき、役に立ったらスターを付けてもらえると開発の励みになります。