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副業の確定申告に会計ソフトは必要?20万円ルールと、必要になる3つの条件
結論: 副業の確定申告に会計ソフトが「必要」なのは、青色申告で65万円控除を取る・取引が月20件を超える・消費税申告がある、のいずれかに当てはまる人。雑所得・白色で年数十件ならエクセルで足りる
会社員の副業で「年20万円を超えたら確定申告」というルールはよく知られていますが、「だから会計ソフトが要る」とは限りません。判断は次の3つで決まります。
| 条件 | 会計ソフトが必要か | 理由 |
|---|---|---|
| 青色申告で55万円・65万円控除を取る | 必要 | 複式簿記の帳簿と、65万円は電子申告(e-Tax)が要件 |
| 取引(売上・経費)が月20件を超える | あったほうがよい | 銀行・カード明細の自動取込がないと入力が追いつかない |
| 消費税の申告がある(課税事業者・インボイス登録) | 必要 | 税率区分の管理と消費税申告書の作成が手作業では難しい |
| 雑所得・白色申告で年数十件 | 不要 | 収支内訳書はエクセルと国税庁の確定申告書等作成コーナーで足りる |
以下、20万円ルールの正確な意味、雑所得と事業所得の違い、白色でエクセルで済む範囲、青色申告で会計ソフトが要る理由、選び方、始め方の順に整理します。
「20万円ルール」の正確な意味
給与を1か所から受けている会社員で、給与以外の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です(出典: 国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人)。よくある誤解を整理します。
- 「収入」ではなく「所得」: 売上30万円・経費12万円なら所得18万円で、申告不要の範囲
- 住民税は別: 所得税の申告が不要でも、住民税の申告は市区町村に必要。確定申告をすれば住民税にも反映される
- 医療費控除・ふるさと納税などで確定申告をするなら、20万円以下でも副業所得を含めて申告する
- 20万円以下でも、源泉徴収された副業収入があれば申告で還付されることがある
つまり「20万円」は所得税の申告義務の線であって、帳簿の要否や会計ソフトの要否を決める線ではありません。
雑所得か事業所得かで、帳簿の要件が変わる
副業の所得は「雑所得」か「事業所得」のどちらかに区分されます。国税庁の通達では、営利性・継続性・帳簿書類の保存などから総合的に判断するとされ、帳簿書類を保存していない場合は原則として雑所得(収入300万円以下)と扱われます(出典: 国税庁 所得税基本通達35-2の改正(2022年))。
| 雑所得 | 事業所得 | |
|---|---|---|
| 帳簿 | 収入300万円超は保存義務。300万円以下は任意(ただし帳簿がないと雑所得扱い) | 帳簿の記帳・保存が必要 |
| 青色申告 | 不可 | 可(承認申請が必要) |
| 損失の扱い | 他の所得と相殺不可 | 給与所得と相殺可(損益通算) |
| 会計ソフトの必要性 | 低い | 青色なら高い |
「副業を事業として育て、将来は本業にする」なら事業所得+青色申告を目指し、そのために帳簿を付けることになります。「小遣い程度で終わる」なら雑所得で、帳簿は簡易なもので足ります。
白色申告・雑所得なら、エクセルで足りる範囲
白色申告(または雑所得)で提出するのは「収支内訳書」で、売上・仕入・経費の合計を科目ごとに書くだけです。取引が年数十件なら、次の方法で十分です。
- エクセルかGoogleスプレッドシートに、日付・内容・金額・科目の列で売上と経費を記録する
- 科目ごとに合計する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で収支内訳書と申告書を作り、e-Taxで送信する(マイナンバーカードがあればスマホで完結)
会計ソフトを使わなくても、この方法で電子申告までできます。領収書・請求書は7年(雑所得で300万円以下は5年)保存します。
青色申告で会計ソフトが必要になる理由
青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円の3段階で、55万円以上には「複式簿記による記帳」と「貸借対照表・損益計算書の添付」が要件、65万円にはさらに「e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存」が要件です(出典: 国税庁 青色申告特別控除)。
複式簿記は、1つの取引を借方・貸方の両面で記録する方式で、手作業で行うには簿記の知識と時間が必要です。会計ソフトは「銀行明細を取り込んで科目を選ぶ」だけで複式簿記の仕訳を自動生成し、貸借対照表・損益計算書・青色申告決算書を作り、e-Taxで送信できます。65万円控除による節税額は、所得税・住民税を合わせて年数万〜十数万円になることが多く、会計ソフトの年1万円台の費用を上回ります。
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青色申告をするには、開業届と「青色申告承認申請書」を、その年の3月15日まで(年の途中で開業した場合は開業から2か月以内)に税務署へ提出する必要があります。申請を忘れると、その年は白色申告になります。
消費税の申告がある人は会計ソフトが前提
前々年の課税売上が1,000万円を超える、またはインボイス(適格請求書発行事業者)に登録している場合は、消費税の申告が必要です。取引ごとに税率(10%・軽減8%)と課税・非課税・不課税を区分し、消費税申告書を作る作業は、手作業では現実的ではありません。会計ソフトの消費税申告対応プラン(マネーフォワードならパーソナル以上)を選んでください。副業で取引先から「インボイス登録してほしい」と言われて登録した人は、この条件に当てはまります。
会計ソフトの選び方(副業の場合)
| 見る点 | 判断 |
|---|---|
| 入力方式 | 簿記が分かるなら仕訳形式(マネーフォワード)、分からないなら質問形式(freee) |
| 最安プランの制限 | 消費税申告の可否、レシート撮影の件数上限 |
| 無料トライアル | カード登録不要・自動移行なしのものが試しやすい |
| 給与所得との合算 | 源泉徴収票を入力して申告書を作れるか(副業向けは対応が普通) |
| 将来の法人化 | 同じ会社の法人向け会計に移行できるか |
マネーフォワードとfreeeの違いは「freee vs マネーフォワード」で整理しています。税理士に依頼する場合の会計ソフトの扱いは「クラウド会計は税理士に対応してもらえる?」を参照してください。
始め方: 副業1年目の流れ
- 副業用の銀行口座とクレジットカードを分ける: 私用と混ざると記帳が倍になる。会計ソフトの自動取込もこの口座を連携する
- 事業所得を目指すなら開業届+青色申告承認申請書を出す: 期限に注意
- 会計ソフトの無料トライアルに登録し、口座・カードを連携する
- 月1回、取り込まれた明細の科目を確認する: ためると年末に苦しむ
- 領収書はスマホで撮ってソフトに登録するか、月ごとに封筒で保管する
- 年末に家事按分(自宅の家賃・通信費の事業分)を設定する
- 翌年2〜3月に申告書を作成し、e-Taxで送信する(マイナンバーカードが必要)
副業の種類別: 会計ソフトが必要かの目安
| 副業の種類 | 取引の性質 | 会計ソフトの必要性 |
|---|---|---|
| ブログ・アフィリエイト | 月数件の入金、経費はサーバー代・ツール代 | 低い(年数十件ならエクセル)。青色65万円を狙うなら必要 |
| クラウドソーシング(ライティング・デザイン) | 案件ごとの入金、源泉徴収あり | 中。件数が増えると自動取込が楽 |
| ネットショップ・せどり | 仕入と売上が多数、在庫あり | 高い。件数と在庫管理で手作業は困難 |
| コンサル・講師 | 月数件の高額取引 | 低〜中。インボイス登録なら必要 |
| 不動産(1室の賃貸) | 月1回の家賃、年数件の経費 | 低い(不動産所得は青色10万円が上限のことが多い) |
| 株・FX | 特定口座なら申告不要のことも | 不要(会計ソフトの対象外) |
「件数」「青色」「消費税」の3条件に、副業の種類を当てはめて判断してください。
よくある失敗
- 20万円以下だから何もしない: 住民税の申告は必要。医療費控除などで確定申告するなら副業分も含める
- 雑所得なのに青色申告しようとする: 青色は事業所得(または不動産所得・山林所得)のみ
- 青色申告承認申請書を出し忘れる: その年は白色。翌年3月15日までに出す
- 私用のカードで経費を払い、記帳が追いつかない: 副業用のカードを作る
- 会計ソフトを申告直前に契約し、1年分を一気に入力する: 自動取込は過去分も取れるが、科目の確認が数百件になる
- 消費税の申告に非対応のプランを選ぶ: インボイス登録者は対応プランを
確定申告までの年間スケジュール(副業1年目)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 副業開始時 | 副業用の口座・カードを作る。事業所得を目指すなら開業届+青色申告承認申請書(開業から2か月以内) |
| 毎月 | 明細の取込と科目の確認(会計ソフト)、またはエクセルへの記録。領収書の保管 |
| 10〜11月 | 売上と経費の合計を確認し、所得が20万円を超えるかを見積もる |
| 12月 | 家事按分・固定資産の設定。ふるさと納税・iDeCoなど控除の整理 |
| 1月 | 勤務先から源泉徴収票を受け取る。取引先からの支払調書(届く場合) |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告書の作成・提出(e-Tax)。納税または還付 |
| 6月以降 | 住民税の通知。普通徴収を選んだ場合は自分で納付 |
「12月に1年分をまとめて入力する」と、明細の確認だけで数日かかります。毎月30分の確認を続けるほうが、結果的に短時間で終わります。
よくある質問
Q. 会社に副業がバレますか? 確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、副業分の住民税が会社の給与天引きに含まれなくなります。ただし自治体によって扱いが異なる場合があり、会社の就業規則の確認も別に必要です。
Q. 会計ソフトの費用は経費になりますか? 副業の事業に使うソフトの利用料は、通信費や消耗品費などとして経費に計上できます。私用と兼ねる場合は按分します。
Q. 副業の売上が年10万円程度です。それでも帳簿は必要ですか? 所得20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は必要で、その際に収入と経費の内訳を示せる記録があると安心です。エクセルで十分です。
Q. 青色申告10万円控除なら会計ソフトは不要ですか? 10万円控除は簡易な帳簿(単式)で足りるため、エクセルでも可能です。ただし55万円・65万円との差額(45〜55万円の控除)が節税効果として大きいため、会計ソフトを使って65万円を取るほうが費用対効果は高くなります。
Q. 途中から会計ソフトに変えられますか? 可能です。年の途中から始める場合、それまでの取引をまとめて登録するか、翌年から使うかを選びます。期中の乗り換えについては「会計ソフトの乗り換えは期中でもできる?」で整理しています。
Q. 副業の経費はどこまで認められますか? 副業の収入を得るために直接必要な支出が経費です。パソコン・通信費・書籍・交通費・自宅の家賃や電気代の事業分(家事按分)などが該当します。私用と兼ねるものは合理的な割合で按分し、領収書と根拠を保存してください。判断に迷うものは税理士か税務署に確認を。
Q. 確定申告を税理士に頼む場合、会計ソフトは不要ですか? 税理士に丸投げする場合でも、記帳(取引の入力)は依頼者側が行う契約が一般的で、その際に会計ソフトのデータを共有する形になります。副業規模で税理士に頼むと年数万〜十数万円かかるため、会計ソフトで自分で申告する人が大半です。
Q. 開業届を出すと会社に分かりますか? 開業届は税務署に提出するもので、勤務先に通知されることはありません。会社に分かる経路は主に住民税の徴収方法(特別徴収)なので、確定申告時に普通徴収を選ぶことが対策になります。
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