インド占星術
インド占星術(ジョーティシュ)とは|アヤナムシャと27ナクシャトラ
インド占星術はジョーティシュ(光の科学)と呼ばれ、3000年以上の歴史を持つとされる占星術の体系です。西洋占星術と同じく天体の配置を見ますが、星座の起点の取り方が根本的に異なるため、同じ人でも星座が1つずれるという特徴があります。
サイデリアルとトロピカルの違い
西洋占星術は、春分点を牡羊座0度とする「トロピカル方式」を採用しています。一方インド占星術は、実際の恒星の位置を基準とする「サイデリアル方式」です。
地球の自転軸は約26,000年かけてゆっくり首を振っており(歳差運動)、そのため春分点は少しずつ移動しています。現在、春分点と実際の恒星位置のずれは約24度に達しています。このずれを補正する数値をアヤナムシャと呼びます。
アヤナムシャは約24度、つまりほぼ1星座分に相当します。そのため、西洋占星術で牡羊座の人はインド占星術では魚座になる、というように星座が1つ前にずれるのが一般的です。
12ラーシと支配星
インド占星術の12星座はラーシと呼ばれます。メーシャ(牡羊)・ヴリシャバ(牡牛)・ミトゥナ(双子)・カルカ(蟹)・シンハ(獅子)・カニヤー(乙女)・トゥラー(天秤)・ヴリシュチカ(蠍)・ダヌ(射手)・マカラ(山羊)・クンバ(水瓶)・ミーナ(魚)の12です。
各ラーシには支配星があります。メーシャとヴリシュチカは火星、ヴリシャバとトゥラーは金星、ミトゥナとカニヤーは水星、カルカは月、シンハは太陽、ダヌとミーナは木星、マカラとクンバは土星が支配します。インド占星術では天王星・海王星・冥王星を使わず、肉眼で見える天体とラーフ・ケートゥという計算上の点を用います。
27ナクシャトラとターラー
インド占星術でとくに重視されるのがナクシャトラ(月宿)です。天球を27に分けた区画で、アシュヴィニーから始まりレーヴァティーで終わります。生まれたときに月があったナクシャトラが、その人の本命宿になります。
日々の吉凶は「ターラー」で判断します。本命ナクシャトラから今日のナクシャトラまでの距離を9で割った余りで、ジャンマ(誕生)・サンパット(財)・ヴィパット(災)・クシェーマ(安泰)・プラティヤク(障害)・サーダカ(成就)・ヴァダ(危険)・ミトラ(友好)・アティミトラ(親友)の9つに分類されます。
サンパット・サーダカ・アティミトラの日は積極的な行動が実を結び、ヴィパット・ヴァダの日は守りを固めるべき日とされます。宿曜占星術と発想が似ているのは、両者が同じインドの天文学に源流を持つためです。
当サイトでの計算方法
ラーシは、西洋占星術の太陽星座からアヤナムシャ分(約23.85度)を1星座ずらす近似で判定しています。ナクシャトラは生年月日から27の周期で決定論的に算出しています。
ラグナ(上昇宮)は、出生時刻とインド標準時の子午線(東経82.5度)を基準とした出生地の経度差から近似的に求めています。出生時刻が不明の場合は、ラグナを太陽ラーシと同一として扱います。
本格的なジョーティシュでは、ダシャー(惑星期)やヴァルガ(分割図)などさらに多層的な分析を行います。当サイトが扱うのはその入口部分にあたります。
成り立ちと広まり
インド占星術(ジョーティシュ)は、ヴェーダの補助学(ヴェーダーンガ)の一つとして古代インドで発展した占星術で、「光の科学」を意味します。紀元前後には惑星の運行を計算する体系が整い、6世紀のヴァラーハミヒラ『ブリハット・ジャータカ』、パラーシャラに帰される『ブリハット・パラーシャラ・ホーラー・シャーストラ』などが古典として知られます。
インドでは現在も、結婚の相性・開業や儀式の日取り・命名などにジョーティシュが広く使われており、新聞の星占いから専門の占星術師まで、生活に根付いています。日本には1990年代以降に紹介され、西洋占星術との違い(サイデリアル方式、ナクシャトラ、ダシャー)が注目されています。
西洋占星術と同じ天体と12星座を使いますが、春分点の移動(歳差)を補正するアヤナムシャを用いるため、星座の位置が約24度ずれます。この補正値はラヒリ式が最も広く使われ、当サイトもラヒリ式を採用しています。
鑑定結果の読み方(例)
当サイトの鑑定では、ラグナ(アセンダント、出生時刻が分かる場合)、月のラーシ(星座)とナクシャトラ、今日の運勢が表示されます。インド占星術では太陽星座より「月の星座」と「ナクシャトラ」を重視し、月のナクシャトラが「ローヒニー」なら、豊かさ・美・成長を表す性質、「アヌラーダー」なら、献身・協調・成功を表す性質、と読みます。
27のナクシャトラはそれぞれ支配星(月・火星・ラーフ・木星・土星・水星・ケートゥ・金星・太陽の順で繰り返す)を持ち、この支配星の順で人生の時期を区切る「ヴィムショッタリ・ダシャー」(120年周期)が、インド占星術の最大の特徴です。今どの惑星のダシャーにいるかで、人生のテーマが変わるとされます。
今日の運勢は、今日の月のナクシャトラと自分の月のナクシャトラの関係(ターラー)で読みます。ジャンマ(同じ)・サンパット(富)・ヴィパット(危険)・クシェーマ(安楽)・プラティヤク(障害)・サーダナ(達成)・ナイダナ(破壊)・ミトラ(友)・パラマミトラ(親友)の9種類があり、当サイトはこの関係から吉凶を判定しています。
他の占術との違いと組み合わせ
西洋占星術との最大の違いはサイデリアル方式で、同じ人でも星座が一つ前になることがあります。また、インド占星術は天王星・海王星・冥王星を使わず、代わりに月の交点であるラーフ(昇交点)とケートゥ(降交点)を重要な要素として扱います。
宿曜占星術の27宿はナクシャトラを起源としますが、中国・日本で独自に発展したため、計算方法や相性の体系が異なります。当サイトでは両方を別の占術として計算しており、宿が一致しない場合があります。
当サイトの総合鑑定では、インド占星術を「月の位置から見た今日の心の状態と、ナクシャトラの関係による吉凶」の指標として、他の占術と並べて表示しています。
主な用語の一覧
鑑定結果や解説書でよく出てくる用語を、この記事で使った範囲でまとめます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ジョーティシュ | インド占星術の呼称。「光の科学」の意 |
| サイデリアル | 恒星を基準にした黄道の区分方式。インド占星術で使う |
| トロピカル | 春分点を基準にした区分方式。西洋占星術で使う |
| アヤナムシャ | サイデリアルとトロピカルのずれ。ラヒリ式で約24度 |
| ラーシ | 12星座に相当する区分 |
| ナクシャトラ | 月の通り道を27に分けた区分。宿曜の27宿の起源 |
| ラグナ | アセンダント。第1ハウスの起点 |
| ダシャー | 人生を惑星ごとの期間に区切る技法。ヴィムショッタリが代表的 |
| ラーフ・ケートゥ | 月の昇交点と降交点。影の惑星として重視される |
| ヨーガ | 特定の惑星配置の組み合わせ。富・名声・困難などを示す |
鑑定結果を日常でどう使うか
月のナクシャトラは、自分の「心の癖」を知る材料として使えます。インド占星術では月が心を表すとされ、月のナクシャトラの性質(例えばローヒニーなら美と豊かさを求める、ムーラなら根本を探る)を知っておくと、自分が何に惹かれ、何で消耗するかを言葉にしやすくなります。
今日の運勢はターラー(今日の月のナクシャトラと自分のナクシャトラの関係)で判定しています。サンパット・クシェーマ・サーダナ・ミトラ・パラマミトラの日は予定を進め、ヴィパット・プラティヤク・ナイダナの日は無理をしない、という使い方で、日ごとの行動の目安にできます。
ダシャーは、人生の長い流れを見る枠組みです。今どの惑星の期間にいるかを知ると、「今は土星の期間なので、地道な積み重ねが主題」というように、数年単位の方針を考える材料になります。当サイトの表示範囲は鑑定画面をご確認ください。
歴史の流れ(年表)
成り立ちを時代順に整理します。年代は諸説あるものを含み、目安としてご覧ください。
| 時代 | 出来事 |
|---|---|
| 紀元前1千年紀 | ヴェーダの補助学としてジョーティシュが成立 |
| 紀元前後 | ギリシャの占星術の影響を受け、ホロスコープ占星術が発展 |
| 6世紀 | ヴァラーハミヒラ『ブリハット・ジャータカ』 |
| 中世 | パラーシャラ系の古典が整備される |
| 20世紀 | アヤナムシャの基準(ラヒリ式)がインド政府の暦改革で採用 |
| 1990年代以降 | 日本に紹介される |
鑑定前に用意しておくと精度が上がる情報
出生時刻: ラグナ・ハウス・ナヴァムシャの計算に必要です。
出生地: 緯度経度と時差の計算に使います。
生年月日: 月のナクシャトラは日単位でほぼ決まりますが、月が移動する時刻をまたぐ場合は時刻が必要です。
当サイトの総合鑑定は、生年月日・出生時刻(任意)・出生地(任意)・性別・氏名の5項目で計算します。出生時刻は母子手帳、出生地は出生届の記載で確認できます。
総合鑑定の中でのインド占星術の位置づけ
当サイトの総合鑑定では、インド占星術を含む11種の占術を同じ入力から同時に計算し、一覧で表示しています。インド占星術の結果として表示されるのは主に「月のナクシャトラと今日のターラー」で、これを他の占術の結果と並べて読むことで、その日の傾向を複数の視点から確認できます。
複数の占術が同じ方向(例えば「今日は控えめに」「今日は進める」)を示した項目は、その傾向を意識して過ごす材料にしやすく、逆に占術ごとに結果が分かれた日は、判断をご自身の状況に委ねる日と考えると、鑑定を無理なく日常に取り入れられます。
各占術には成り立ちも計算方法も異なる体系があり、当サイトはそれらの優劣を判定するものではありません。インド占星術の結果に関心を持たれた場合は、この記事で紹介した用語と考え方を手がかりに、専門の書籍や鑑定で深めていただければと思います。
よくある質問
西洋占星術で牡牛座なのに、インド占星術では牡羊座と出ました
アヤナムシャ(約24度)の補正により、西洋占星術の星座の前半に太陽がある人は、インド占星術では一つ前の星座になります。どちらも「その体系の中で」正しく、基準の取り方の違いです。
ダシャーとは何ですか
人生を惑星ごとの期間に区切る技法で、最も広く使われるヴィムショッタリ・ダシャーは、生まれた時の月のナクシャトラから始まり、120年で一巡します。各惑星の期間(ケートゥ7年・金星20年・太陽6年・月10年・火星7年・ラーフ18年・木星16年・土星19年・水星17年)に、その惑星のテーマが強まるとされます。
ナヴァムシャとは何ですか
出生図(ラーシチャート)を9分割して作る分割図(D9)で、結婚や人生の後半、魂の質を読むのに使われます。インド占星術ではラーシチャートとナヴァムシャを併せて読むのが基本ですが、当サイトの表示範囲は鑑定画面をご確認ください。
出生時刻が分からないとどこまで読めますか
月のラーシとナクシャトラは日単位でほぼ求まるため(月が移動する時刻をまたぐ場合を除く)、時刻不明でも今日の運勢や基本的な性質は読めます。ラグナやハウスの配置には出生時刻が必要です。
ラーフとケートゥは実在する天体ですか
実在の天体ではなく、月の軌道と黄道が交わる2つの点(昇交点・降交点)です。日食・月食が起きる位置と関係があるため、インド占星術では影の惑星として重要な役割を持ちます。
インド占星術で相性は見られますか
結婚の相性を見る「クータ(アシュタクータ)」という技法があり、月のナクシャトラの組み合わせを点数化して読みます。当サイトの総合鑑定では相性は宿曜占星術で表示していますが、考え方の起源は共通しています。
インド占星術には「対策」があると聞きました
ジョーティシュでは、惑星の影響を和らげるための宝石・マントラ・儀式・寄付などの「ウパーヤ(対策)」が伝統的に説かれています。これは宗教文化と結びついた実践で、当サイトの鑑定では扱っていません。
ムフールタとは何ですか
行事や契約の日時を選ぶ技法で、結婚式や開業の日取りを決めるために使われます。当サイトでは日々の吉凶の目安を表示していますが、ムフールタの詳細な判定は含みません。
インド占星術の鑑定を専門家に受けるといくらですか
オンラインを含め、数千円〜数万円と幅があります。出生時刻が正確に分かっていると、ラグナやダシャーを含めた詳しい鑑定が受けられます。当サイトは月のナクシャトラを中心にした基本の鑑定を無料で表示しています。
インド占星術の星座は「本当の星座」ですか
サイデリアル方式は実際の恒星の位置に近い区分で、その意味で「実際の星空に近い」と言えますが、どちらの方式も占術上の約束事であり、天文学上の星座の境界とは一致しません。
※本記事は占術の考え方を紹介するものであり、その内容について科学的根拠を保証するものではありません。 鑑定結果はエンターテインメントとしてお楽しみください。