会計・経理SaaS
会計ソフトの乗り換えは期中と期首どちらが良いか判断フロー
結論: 「期首がベスト」だが「期中でも進め方次第で問題ない」
会計ソフトの乗り換えは、一般的に決算期の始まり(期首)に合わせるのが最もシンプルとされています。期首移行であれば、開始残高だけを新ソフトに登録すればよく、旧ソフトと新ソフトのデータを合算する手間が発生しないためです。
一方で、「税理士に相談したら期中でも問題ないと言われた」「繁忙期を待っていたら期首を逃した」というケースも実際には多く、期中移行そのものが避けるべき選択というわけではありません。重要なのは、①決算月までの残り月数、②これまでの仕訳件数、③消費税区分の扱い、④年末調整のタイミングという4つの軸で、自社が期中移行に耐えられる状況かどうかを判断することです。
以下、判断フローと、freee・マネーフォワード クラウド会計それぞれの開始残高・期中データ移行の手順を公式情報から整理します。
期中・期首どちらで乗り換えるかの判断フロー
次の4つの質問に順番に答えることで、期首移行を待つべきか、期中移行に進んでよいかの目安がつきます。
- 決算月まで3か月以内か: はいの場合、期首移行を待つ選択肢も十分現実的です。いいえ(決算月まで4か月以上ある)の場合は次へ進みます。
- これまでの仕訳件数が月100件を超えているか: はいの場合、期中移行では旧ソフトと新ソフトのデータを合算する決算作業が煩雑になりやすく、税理士との事前調整が必須です。いいえの場合は次へ進みます。
- 消費税の課税事業者で、簡易課税と原則課税のどちらを選んでいるか確認できているか: 確認できていない場合は、移行前に必ず現在の消費税区分を確認してください。区分を誤って新ソフトに引き継ぐと、期末の消費税額に直結する誤りにつながります。
- 年末調整・給与計算システムとの連携が必要な時期と重ならないか: 11月〜1月は年末調整の作業と重なりやすく、経理担当の負荷が高い時期です。この時期を避けられるなら期中移行のハードルはさらに下がります。
4つの質問すべてで「移行を進めやすい」側の答えが揃うなら期中移行、決算月が近い・仕訳件数が多い場合は期首移行を待つ、という判断が無難です。いずれの場合も、移行基準日は月の途中ではなく月末に設定することが、開始残高の整合性を保つ上で重要とされています。
期中移行を選ぶ場合に必ず確認すること
期中移行を選ぶ場合、決算時には「旧ソフトでの期間」と「新ソフトでの期間」の2つのデータを合算して年間の決算書を作成する必要があります。この合算作業は税理士側の工数が増える要因になるため、期中移行を検討する段階で早めに税理士へ相談し、移行基準日をいつにするかをすり合わせておくことをおすすめします。
また、消費税の課税期間の途中で会計ソフトを切り替える場合、期首からの累計額を正しく引き継げているかの確認が特に重要です。前期末の貸借対照表の金額と、新ソフト上の開始残高が一致しているかを、勘定科目ごとに突き合わせて確認する作業を省略しないようにしてください。
freeeの開始残高・期中データ移行の手順
freeeの公式ヘルプセンターでは、他社の会計ソフトから乗り換える場合の開始残高の設定について、複数の手順が案内されています。
- 開始残高の設定画面: 「その他設定」メニューから「開始残高」を選択し、freee利用開始時点の資産・負債などの残高を登録します(出典: freeeヘルプセンター「1.3 開始残高の設定」)
- 他社会計ソフトからの開始残高移行: 移行元ソフトから出力した試算表のCSVを、「開始残高のインポート・エクスポート」から「他ソフト形式でインポート」する手順が案内されています(出典: freeeヘルプセンター「その他の会計ソフトから開始残高を移行する」)
- 法人向けの乗り換え全体の流れ: 他社会計ソフトからのデータ乗り換え手順が、開始残高の設定から仕訳データの移行まで一連の流れとしてまとめて公開されています(出典: freeeヘルプセンター「【法人】他社会計ソフトからのデータ乗り換えの流れまとめ」)
- 弥生会計からの移行: 弥生会計を使っていた場合に限り、開始残高だけでなく仕訳データそのものを移行できる専用の手順が用意されています(出典: freeeヘルプセンター「弥生会計から開始残高を移行する」)
期中移行の場合は、移行基準日時点までの取引を旧ソフトの試算表としてまとめ、その残高を開始残高としてfreeeに取り込む、という流れになります。基準日を月末に設定することで、月次の残高確認がしやすくなるとされています。
マネーフォワード クラウド会計の開始残高・期中データ移行の手順
マネーフォワード クラウド会計にも、他社ソフトからのデータ移行を支援する複数の機能・サポートページが公式に用意されています。
- 「他社ソフトデータの移行」機能: 対応している会計ソフトであれば、勘定科目・開始残高・仕訳データをまとめて取り込める機能が案内されています(出典: マネーフォワード クラウド会計サポート「『他社ソフトデータの移行』の使い方」)
- 非対応ソフトからの移行: 対応外の会計ソフトを使っていた場合は、移行元から出力した開始残高のデータを「各種設定」→「開始残高」の画面からインポートする手順が案内されています(出典: マネーフォワード クラウド会計サポート「『他社ソフトデータの移行』に対応していない会計ソフトからの移行方法」)
- 移行おまかせサービス: 自社での移行作業に不安がある場合向けに、データ移行を代行するサービスも公式に用意されています(出典: マネーフォワード クラウド会計サポート「『移行おまかせ』サービス」)
- 乗り換えタイミングの考え方: 期首でのタイミングが残高を一致させやすく最適とされる一方、期中移行そのものも可能と案内されています(出典: マネーフォワード クラウド会計「会計ソフトの乗り換えはいつがベスト?互換性にも注意!」)
マネーフォワード クラウド会計も、対応ソフトからの移行かどうかで手順が分岐する点はfreeeと共通しています。対応外のソフトを使っていた場合は、CSV加工の手間がかかる分、移行基準日をできるだけ早めに決めて逆算のスケジュールを組むことが重要です。
freee・MFの移行手順を比較する
| 項目 | freee | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|
| 開始残高の設定場所 | 「その他設定」→「開始残高」 | 「各種設定」→「開始残高」 |
| 対応ソフトからの一括移行 | 弥生会計・A-SaaS会計など特定ソフトに対応 | 弥生会計・ミロクなど対応ソフトで仕訳・勘定科目・開始残高を一括移行 |
| 非対応ソフトからの移行 | 試算表CSVを「他ソフト形式」でインポート | 開始残高データをインポート、CSV加工の要否で手順が分岐 |
| 移行の代行サービス | 個別の乗り換えサポート記事を公式に公開 | 「移行おまかせ」サービスとして代行メニューを用意 |
| 期中移行時の注意点 | 基準日を月末に設定し、開始残高と旧ソフトの残高を突き合わせる | 期首移行が残高一致の観点で最適としつつ期中移行にも対応 |
どちらのソフトも「対応ソフトからの移行かどうか」で手間が大きく変わる点は共通しています。乗り換え候補のソフトを決める前に、今使っている会計ソフトが移行先の「対応ソフト一覧」に含まれているかを確認しておくと、移行手順の見通しを立てやすくなります。
よくある質問
Q. 期中移行だと、確定申告や決算に不利になりますか
期中移行そのものが不利になるわけではありませんが、旧ソフトと新ソフトのデータを合算して年間の決算書を作成する必要があるため、税理士側の確認工数が増えるとされています。移行基準日を月末に設定し、早めに税理士と移行スケジュールをすり合わせることをおすすめします。
Q. 決算月の直前に乗り換えを思い立った場合はどうすればよいですか
決算月まで3か月を切っている場合は、無理に今期中の移行を進めず、次の期首移行に向けて準備期間として使う進め方も選択肢です。その間に無料トライアルで操作感を確認し、開始残高の設定に必要な試算表を整理しておくと、期首移行がスムーズになります。
Q. freeeとマネーフォワードで、移行のしやすさに差はありますか
どちらも対応ソフトからの一括移行機能と、非対応ソフト向けのCSVインポート手順を公式に用意しています。今使っている会計ソフトが移行先の対応ソフト一覧に含まれているかどうかで手間が大きく変わるため、乗り換え前に必ず公式サイトの対応ソフト一覧を確認してください。
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