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会社設立は自分でやるか司法書士に頼むか|無料の設立ソフトで済む範囲と、専門家に頼むべき5つのケース
結論: 標準的な株式会社・合同会社なら自分+無料ソフトで足りる。司法書士が要るのは「株主が複数」「現物出資」「急ぎ」「変則的な定款」「法人が株主」の5ケース
会社設立を自分でやるか司法書士に依頼するかは、「難しいかどうか」ではなく設立する会社の条件が標準的かどうかで決まります。発起人1〜2名・金銭出資のみ・一般的な事業目的の株式会社または合同会社であれば、無料の会社設立ソフトが定款と登記書類の作成を自動化するため、自分で完結できます。逆に、株主構成や出資方法が標準から外れると、定款の条項設計に専門知識が要り、司法書士に依頼するほうが結果的に早く安くなります。
以下、費用と日数の比較、無料ソフトが自動化する範囲、司法書士に頼むべき5ケース、設立後すぐ必要になる手続きの順に整理します。
費用と日数の比較(株式会社の場合)
| 項目 | 自分で(無料ソフト利用) | 司法書士に依頼 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 資本金額に応じ 15,000〜50,000円(公証役場) | 同左 |
| 定款の印紙代 | 電子定款なら 0円(紙定款は 40,000円) | 電子定款で 0円 |
| 登録免許税 | 150,000円(または資本金×0.7%の高い方) | 同左 |
| 専門家報酬 | 0円 | 数万〜10万円程度(事務所により異なる) |
| 自分の作業時間 | 書類作成2〜4時間+公証役場・法務局への訪問 | 打ち合わせ1〜2時間 |
| 設立までの日数 | 1〜2週間(公証役場の予約と法務局の処理日数次第) | 1〜2週間(同上。書類不備による差し戻しが起きにくい) |
法定費用(定款認証・登録免許税)は誰がやっても同じで、差が出るのは専門家報酬と、電子定款にできるかどうかです。紙の定款には印紙税40,000円がかかるため、自分でやる場合も電子定款に対応した仕組みを使うことが前提になります(出典: 国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)」第6号文書(定款))。合同会社は定款認証が不要で登録免許税も60,000円からのため、自分でやる場合の負担はさらに小さくなります。
無料の会社設立ソフトが自動化する範囲
マネーフォワード クラウド会社設立は、公式サイトで利用料金無料・3ステップで設立書類を作成できるサービスとして案内されています。同種のサービスが共通して自動化しているのは、次の範囲です。
- 会社名・所在地・事業目的・資本金などを入力すると、定款の案文と登記申請書一式が生成される
- 電子定款の作成に対応し、紙定款の印紙税を回避できる
- 公証役場・法務局に提出する書類のチェックリストと手順の案内
- 設立後の税務署・年金事務所への届出書類のひな形
自動化されないのは、公証役場での認証手続きそのもの(本人または代理人の出向き、またはオンライン認証の準備)と、法務局への申請、そして「事業目的の書き方」「発行可能株式総数の設定」といった判断です。判断部分はソフト内の標準的な選択肢に従えば問題になりにくく、そこが「標準的な会社なら自分でできる」と言える理由です。
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- 株主(発起人)が3名以上、または出資比率に差をつける: 株式の種類・議決権・譲渡制限の設計が絡む。標準定款のままだと将来の株主間トラブルの原因になる
- 現物出資がある: 車両・PC・不動産などを出資する場合、価額の証明や検査役の要否など手続きが増える
- 設立日を特定の日に合わせたい・急いでいる: 書類不備で差し戻されると1〜2週間遅れる。期日が決まっているなら専門家の方が確実
- 定款に変則的な条項を入れたい: 取締役会設置、役員の任期の特殊設定、株式の相続に関する条項など
- 法人が株主になる、または外国人・海外在住者が発起人: 印鑑証明に代わる書類や翻訳が必要で、標準ソフトの想定外になる
このいずれにも該当しないなら、自分でやる選択が合理的です。逆に1つでも該当するなら、報酬を払っても専門家に任せたほうが総コストは下がります。
本店所在地をどこにするか(自宅か、バーチャルオフィスか)
設立時に必ず決めるのが本店所在地です。自宅を登記すると、登記簿(誰でも取得可能)に自宅住所が載ります。賃貸の場合は契約上、事業用の登記が禁止されていることもあります。これを避ける手段として、住所のみを借りるバーチャルオフィスで登記する方法があります。銀行口座開設の審査など注意点があるため、詳しくは「バーチャルオフィスで法人登記するときの注意点」で整理しています。
設立後すぐに必要になる手続き
設立登記が完了しても、それだけでは会社は動きません。おおむね次の順で手続きが続きます。
| 期限の目安 | 手続き | 提出先 |
|---|---|---|
| 設立から2か月以内 | 法人設立届出書 | 税務署・都道府県・市区町村 |
| 設立から3か月以内(または最初の事業年度末の前日まで) | 青色申告の承認申請書 | 税務署 |
| 設立から5日以内 | 健康保険・厚生年金の新規適用届(役員報酬を出す場合) | 年金事務所 |
| 給与支払い開始まで | 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 |
| 随時 | 法人口座の開設、会計ソフトの導入 | 銀行・各サービス |
会社設立ソフトの多くは、これらの届出書のひな形まで用意しています。設立と同時に会計ソフトを決めておくと、最初の取引から仕訳が溜まらずに済みます。freee とマネーフォワードの違いは「freee vs マネーフォワード クラウド会計」を参照してください。
自分で設立する場合の手順(株式会社・14日の目安)
無料の会社設立ソフトを使う前提で、実際の流れと日数の目安を示します。
| 日 | やること | 注意 |
|---|---|---|
| 1日目 | 会社名・本店所在地・事業目的・資本金・役員を決める。ソフトに入力 | 事業目的は将来やる可能性のある事業も含める。許認可が必要な事業は文言を確認 |
| 2〜3日目 | 定款を作成。電子定款なら印紙代4万円が不要 | 電子定款はソフトが対応。自分で作る場合は電子署名の環境が必要 |
| 4〜7日目 | 公証役場で定款の認証(株式会社のみ。合同会社は不要) | 事前に公証役場へ予約。認証手数料は資本金の額で異なる |
| 8日目 | 資本金を発起人の個人口座に払い込み、通帳のコピーを取る | 法人口座はまだ作れない。個人口座で可 |
| 9〜10日目 | 登記申請書類を作成し、法務局に申請(オンラインまたは窓口) | 申請日が会社の設立日になる |
| 11〜14日目 | 登記完了。登記事項証明書・印鑑証明書を取得 | 法務局の混み具合で前後する |
登録免許税は株式会社で15万円(または資本金の0.7%の高いほう)、合同会社で6万円が最低額です(出典: 法務局「商業・法人登記の申請書様式」)。日数は目安で、公証役場と法務局の予約状況で変わります。
設立前に決めておくと後で楽になること
登記そのものより、設立後の手続きで困ることが多い項目です。
- 決算月: 繁忙期を避ける。設立日から最初の決算までが短いと、初年度の申告がすぐ来る
- 資本金の額: 1,000万円未満なら設立初年度の消費税が原則免除。ただし取引先の与信・許認可の要件で下限がある業種もある
- 本店所在地: 自宅にすると登記簿に住所が載る。バーチャルオフィスを使う場合の注意は「バーチャルオフィスで法人登記する際の注意点」
- 役員の任期: 株式会社は最長10年に設定できる。短いと役員変更登記の手間と費用が定期的にかかる
- 会計ソフト: 設立直後から使う。期中に乗り換えると手間が増える(「会計ソフトの乗り換えは期中と期首どちらか」)
自分で設立するときに起きやすい失敗
無料ソフトを使えば書類は自動で作れますが、入力内容の判断ミスは防げません。よくある失敗と、防ぎ方を整理します。
| 失敗 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 事業目的に将来の事業を入れていない | 新しい事業を始めるときに定款変更(登録免許税3万円)が必要 | 関連する事業を幅広く列挙。「前各号に附帯する一切の事業」を入れる |
| 会社名(商号)が使えない | 同一住所に同名の会社があると登記できない。商標との衝突 | 法務局の商号調査、特許庁の商標検索で事前確認 |
| 資本金の払い込みの日付が定款作成日より前 | 登記が受理されない | 定款認証(合同会社は定款作成)の後に払い込む |
| 印鑑(会社実印)の準備が遅い | 登記申請に間に合わない | 会社名が決まった時点で発注。オンライン申請なら印鑑届は任意 |
| 設立後の届出を忘れる | 青色申告の承認申請の期限(設立から3か月以内など)を過ぎると、初年度に青色申告ができない | 設立日に届出の一覧と期限をカレンダーに入れる |
設立後の届出(税務署・都道府県・市区町村・年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク)は、それぞれ期限が異なります。一覧は国税庁・日本年金機構の案内で確認し、設立日に期限を書き出しておくと漏れません。
よくある質問
Q. 無料ソフトで作った定款は公証役場で通りますか? 標準的な内容であれば問題なく認証されます。公証役場は認証前に定款案の事前確認に応じているので、不安な条項があれば提出前にメールやFAXで確認できます。
Q. 合同会社なら司法書士は不要ですか? 定款認証が不要で書類も少ないため、自分でやる人が多い会社形態です。ただし社員(出資者)が複数で利益配分に差をつける場合は、株式会社と同様に専門家に相談したほうが安全です。
Q. 設立ソフトの「無料」に条件はありますか? 多くの設立ソフトは、同じ会社の会計ソフト等の利用を前提に無料としています。無料の条件(他サービスの申し込み要否、電子定款作成の代行手数料の有無)は各公式サイトで確認してください。
Q. 合同会社と株式会社、どちらにすべきですか 設立費用は合同会社のほうが安く(定款認証が不要、登録免許税の最低額が6万円)、運営もシンプルです。一方、取引先の信用や将来の資金調達・上場を考えるなら株式会社が一般的です。1人で始める小規模な事業なら合同会社、外部から出資を受ける予定があるなら株式会社、が目安です。
Q. 設立後に司法書士に頼むことはありますか 役員変更・本店移転・増資・定款変更などの変更登記は、設立時と同様に自分でもできますが、頻度が低く手順を覚えにくいため、司法書士に依頼する会社が多くあります。1件数万円が目安です。
Q. 設立の相談は誰にすればいいですか 登記の手続きは司法書士、税務や届出は税理士、社会保険は社会保険労務士がそれぞれの専門です。自分で設立する場合も、設立後の会計・税務は税理士に相談する体制を早めに作ると、初年度の申告で困りません。
Q. 設立にかかる費用は経費になりますか 設立のための費用(定款認証・登録免許税・司法書士報酬など)は「創立費」として、設立後の会社の経費(繰延資産)にできます。領収書を保管し、会計ソフトで創立費として計上してください。
Q. 設立前に事業を始めていた場合の経費はどうなりますか 設立前に支出した、設立準備のための費用は創立費、設立後の営業開始までの費用は開業費として扱えます。個人事業から法人にする場合は、個人事業の廃業と法人設立の時期をそろえ、資産の引き継ぎ(法人成り)は税理士に確認してください。
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