選び方ガイド

ポータブル電源は一人暮らしに何Wh必要?
停電3日分の容量計算と、賃貸での置き場所・保管のしかた

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結論(3行)

  • 一人暮らしの停電対策は、スマホ・LEDライト・ラジオが中心なら300Wh前後、在宅勤務のノートPCや冬の電気毛布も使うなら500〜700Whが目安です。冷蔵庫や電子レンジまで動かす1,000Wh超のクラスは、一人暮らしの部屋では重さと置き場所の負担が大きくなります
  • 使える時間は「容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)」で計算します。0.8は変換時の電力ロスを見込んだ係数です。家電の消費電力は本体のラベルや取扱説明書で確認します
  • 置き場所は、直射日光と高温を避けた室内の床(クローゼット下段・デスク下など)。保管中も3か月に1回程度は残量を確認して充電し、メーカーの保管温度の範囲内に置きます

停電への備えとしてポータブル電源を検討すると、容量は200Wh台から2,000Wh超まで幅があり、価格も数万円から十数万円まで開きがあります。一人暮らしで大きすぎる容量を選ぶと、重くて部屋の中で移動させられず、置き場所にも困ります。反対に小さすぎると、使いたい家電が動かないことがあります。

この記事では、一人暮らしが停電で使う機器から必要な容量を逆算する方法と、賃貸の部屋での置き場所・保管のしかたを整理します。メーカーの公表値と公的機関の情報をもとにした編集部の整理で、特定の製品を実際に使用した評価ではありません。価格は変動が大きいため、2026年9月時点の情報として、購入前に販売ページで確認してください。

まず知っておきたい3つの数字: Wh・W・0.8

用語意味どこを見るか
容量(Wh:ワットアワー)電源にためておける電気の量。数字が大きいほど長く使えるポータブル電源の商品名・仕様欄
定格出力(W:ワット)一度に出せる電力の上限。これを超える家電は動かないポータブル電源の仕様欄
消費電力(W)家電が使う電力家電本体のラベル、取扱説明書
0.8(変換ロス)電気を取り出すときに一部が熱などで失われる分を見込んだ係数メーカーの解説でも目安として使われる

Anker Japanの解説でも、実際に使える容量は電力ロスを考慮して表示容量の80%程度で見積もる方法が紹介されています(出典: Anker Japan「ポータブル電源の容量の目安」)。つまり300Whの電源なら、実際に使えるのは240Wh程度と考えます。

計算式はシンプルです。

  • 使える時間(時間)= 容量(Wh)× 0.8 ÷ 家電の消費電力(W)
  • 必要な容量(Wh)= 家電の消費電力(W)× 使いたい時間(時間)÷ 0.8

たとえば、消費電力40Wの機器を300Whの電源で使うと、300×0.8÷40=6時間です。同じ電源で300Wの機器を使うと、300×0.8÷300=0.8時間(約50分)しか持ちません。消費電力の大きい家電ほど、あっという間に容量を使い切ることが分かります。

スマホは何回充電できるか(計算のしかた)

スマホのバッテリー容量は「mAh(ミリアンペアアワー)」で表示されていることが多いため、Whに直して計算します。

  • スマホのWh = mAh ÷ 1,000 × 電圧(V)(スマホの電池の電圧は3.7〜3.85V程度のものが一般的)

たとえばバッテリー容量4,000mAh・3.85Vのスマホなら、4,000÷1,000×3.85=約15.4Whです。充電時にも電力ロスがあるため、1回の満充電に20Wh前後を見込むと安全側の計算になります。この場合、300Whの電源(実質240Wh)なら240÷20=約12回分です。自分のスマホのバッテリー容量は、メーカーの仕様ページで確認できます。

一人暮らしの停電で、スマホを1日2回充電するとしても、3日で6回分(約120Wh)です。スマホ中心の使い方なら、300Wh前後で3日分を十分にまかなえる計算になります。

一人暮らしの使い方別: 必要な容量の目安

停電中に何を動かしたいかで、必要な容量は大きく変わります。家電の消費電力は製品によって差が大きいため、下の表の「計算例」は、自分の家電のラベルの数字に置き換えて計算してください。

使い方動かしたい機器3日分の計算例容量の目安
最低限(情報と明かり)スマホ、LEDライト、ラジオスマホ6回分(約120Wh)+ライト・ラジオ200〜300Wh前後
在宅勤務を続けたい上記+ノートPC、Wi-FiルーターノートPCの消費電力(W)×使う時間を上乗せ500〜700Wh
冬の停電に備えたい上記+電気毛布電気毛布の消費電力(W)×就寝時間を上乗せ500〜700Wh(AC出力が必要)
夏の停電に備えたい上記+小型扇風機扇風機の消費電力(W)×使う時間を上乗せ500〜700Wh
冷蔵庫・電子レンジも上記+冷蔵庫、電子レンジ、電気ケトル消費電力が大きく、定格出力も大きい機種が必要1,000Wh以上(重さ10kg超が多い)

一人暮らしで判断に迷ったら、「停電中に使いたい物を紙に書き出し、消費電力と使う時間を掛けて足し、0.8で割る」のが最も確実です。ここで出た数字より一回り大きい容量を選びます。

電子レンジ・電気ケトル・ドライヤーのように熱を出す家電は消費電力が大きく、容量をすぐに使い切るうえ、ポータブル電源の定格出力を超えて動かないこともあります。停電中の加熱はカセットコンロに任せ、ポータブル電源は通信・明かり・小さな家電に使うと、容量を小さく抑えられます(「防災セットで一人暮らしに足りないもの」参照)。

容量以外に確認したい4つの仕様

仕様確認する理由一人暮らしでの目安
AC出力(コンセント)の有無電気毛布・扇風機・PCのACアダプターなど、コンセントの家電を使うには必要。AC出力のないDC専用機種もある家電を使うならAC出力付き。スマホ・USB機器だけならDC専用でもよい
定格出力(W)使いたい家電の消費電力より大きい必要がある小型家電中心なら300W前後、電気毛布・PC程度なら数百W台で足りることが多い
電池の種類リン酸鉄リチウムイオン電池は、充放電の繰り返し回数(サイクル寿命)が長い製品が多い長く備蓄するなら、サイクル寿命の表記を確認
重さ・サイズ部屋の中での移動、置き場所のしやすさ片手で持てるのは3kg前後まで。7kg前後になると両手で運ぶ重さ

公表値で見る容量クラスの違い(2機種の例)

容量クラスによって、重さや大きさがどの程度変わるかを、メーカーの公表値で比べます(2026年9月時点。仕様は変更されることがあるため、購入前に販売ページで確認してください)。

Anker Solix C300 DCJackery ポータブル電源 600 Plus
容量288Wh632Wh
出力最大300W(USB-C・USB-A・シガーソケット)定格800W
AC出力なし(DC専用)あり
電池リン酸鉄リチウムイオンリン酸鉄リチウムイオン
重さ約2.8kg約7.3kg
サイズ約12.4×12.0×20.0cm約30.0×21.9×19.7cm
向いている使い方スマホ・ライト・USB機器中心PC・電気毛布など家電も使う

出典: Anker Japan 製品ページ、Jackery 600 Plus 販売ページ(モノタロウ)。容量が約2倍になると重さは2倍以上になり、設置面積も大きくなることが分かります。一人暮らしの部屋で「どこに置くか」「持ち上げられるか」は、容量と同じくらい大事な判断材料です。

賃貸の一人暮らしでの置き場所

ポータブル電源は、停電したときにすぐ使える場所で、かつ普段は邪魔にならない場所に置きます。

置き場所向いている容量注意点
デスクの下・足元300Wh〜700Wh在宅勤務の人は普段からPCの充電に使うと、残量の確認を忘れない
ベッドの横・枕元近く300Wh前後夜間の停電でスマホ・ライトにすぐ使える。暖房器具の近くは避ける
クローゼットの下段500Wh以上重いので必ず床に。上段や棚の上には置かない
玄関・窓際・ベランダ置かない直射日光・高温・雨の影響を受ける。ベランダは避難経路でもある

重い電源を棚の上に置くと、地震で落下する危険があります。床に直接置き、周囲に倒れてくる家具がない位置を選びます。家具の転倒対策は「賃貸でも使える家具転倒防止グッズ比較」で整理しています。部屋全体の備蓄の配置は「一人暮らしの防災グッズの収納場所7選」を参照してください。

保管のしかた: 充電・温度・点検

ポータブル電源は、買って置いておくだけでは停電時に使えないことがあります。電池は使わなくても少しずつ残量が減るためです。メーカーごとに保管条件が示されているので、取扱説明書に従います。たとえばAnker Solix C300 DCでは、0〜40℃での保管、3か月ごとの残量確認と充電が案内されています(出典: Anker Japan)。

  1. 保管温度の範囲内に置く: 夏の窓際、暖房器具の近く、車内に置きっぱなしにしない
  2. 3か月に1回程度は残量を確認: スマホのカレンダーに通知を登録する。保管時の推奨残量は機種によって異なるので取扱説明書で確認する
  3. 普段から少し使う: スマホの充電やデスクライトに使うと、残量の確認が習慣になる
  4. リコール情報を確認する: 製品評価技術基盤機構(NITE)は、ポータブル電源のリコール製品に注意するよう呼びかけています(出典: NITE)。購入した製品の型番で、メーカーの告知を確認します

異常な発熱・膨らみ・異臭がある場合は使用をやめ、メーカーに相談します。リチウムイオン電池を搭載した製品は、一般のごみとして捨てられないことが多いため、処分方法もメーカーや自治体の案内に従います。

モバイルバッテリーとの使い分け

「スマホだけならモバイルバッテリーで十分では」という疑問もよくあります。役割を分けると次のようになります。

モバイルバッテリーポータブル電源
容量数十Wh程度(10,000mAhで約37Wh)200Wh〜
使える機器スマホ・イヤホンなどUSB機器USB機器+(AC出力付きなら)家電
持ち運びポケット・バッグに入る数kg〜。家に置いて使う
役割持ち出し袋・通勤バッグ用在宅避難用

10,000mAhのモバイルバッテリーは、3.7Vで計算すると約37Whで、スマホ1〜2回分程度です。停電が1日で終わるなら十分ですが、数日続く場合や、PC・電気毛布を使いたい場合はポータブル電源が必要になります。一人暮らしの場合、持ち出し袋にモバイルバッテリー、部屋にポータブル電源という組み合わせが、両方の役割をカバーできます。

ソーラーパネルは必要か

停電が数日以上続く場合、ポータブル電源の電気を使い切ると充電できなくなります。ソーラーパネルがあれば日中に充電できますが、一人暮らしの賃貸では次の点を考えて判断します。

  • 日当たり: 北向きの部屋や、隣の建物で日が当たらないベランダでは、充電に時間がかかります
  • 設置場所: ベランダに一時的に広げて使う形になります。避難経路(隔て板の前・避難ハッチの上)はふさがないようにします。窓越しの充電は効率が下がるとされます
  • 収納: 折りたたみ式でも、それなりの面積を取ります

まずはポータブル電源本体を満充電で維持することを優先し、停電が長引く地域(台風の常襲地、山間部など)に住んでいる場合にソーラーパネルを追加する順番で十分です。

停電したときの使う順番(容量を長持ちさせる)

容量が限られるポータブル電源は、停電が何日続くか分からない前提で、使う順番を決めておくと長持ちします。

  1. 最初の数時間は電源を使わない: 停電直後はスマホの残りの電池と乾電池式のライトで過ごし、停電が長引きそうかをラジオやスマホで確認します
  2. スマホは残量20〜30%になってから充電: こまめな継ぎ足しより、まとめて充電するほうが管理しやすくなります。画面の明るさを下げ、使わないアプリの通信を止めて節電します
  3. 明かりはUSB給電のLEDライトを優先: 消費電力が小さく、容量をほとんど減らしません
  4. 家電は時間を決めて使う: 電気毛布は就寝前に布団を温める間だけ、PCは仕事の時間だけ、と使う時間を区切ります
  5. 残量を毎日同じ時刻に確認: 1日で何%減ったかが分かれば、あと何日持つかを計算できます

停電の復旧後は、ブレーカーを落としたまま家電の電源を確認してから戻すなど、通電火災にも注意します。経済産業省九州経済産業局も、災害時のポータブル電源の事故と通電火災への注意を呼びかけています(出典: 九州経済産業局)。

購入前の確認チェックリスト

  • 停電中に使いたい機器と、その消費電力(W)を書き出したか
  • 「消費電力×時間÷0.8」で必要な容量を計算したか
  • 使いたい家電がコンセント式なら、AC出力があり、定格出力が家電の消費電力を上回っているか
  • 重さを確認し、置き場所(床・デスク下など)から持ち上げて移動できるか
  • 保管温度・保管時の充電方法・保証期間を販売ページで確認したか
  • メーカーの公式サイトで、型番のリコール情報がないか確認したか

商品候補(容量クラス別)

価格は販売店・時期・セールで大きく変わるため記載しません。2026年9月時点の情報です。購入前に販売ページで価格・仕様・保証期間を確認してください。

300Wh前後: スマホ・ライト中心の一人暮らし

Anker Solix C300 DCは、288Wh・約2.8kgのDC専用モデルです(メーカー公表値)。USB-Cの出力が複数あり、スマホ・タブレット・USB給電のライトや扇風機に向いています。コンセントの家電は使えない点に注意してください。

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600Wh前後: PC・電気毛布も使いたい一人暮らし

Jackery ポータブル電源 600 Plusは、632Wh・定格出力800W・AC出力付きのモデルです(販売ページの表記)。約7.3kgあるため、置き場所は床に固定し、あまり移動させない前提で考えます。

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持ち出し袋用: モバイルバッテリー

ポータブル電源は持ち出しに向かないため、持ち出し袋・通勤バッグにはモバイルバッテリーを別に入れます。10,000mAh前後が、重さと容量のバランスを取りやすいクラスです。

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よくある質問

一人暮らしならポータブル電源はいらないのでは
停電が1日程度で終わるなら、モバイルバッテリーと乾電池式のライトで足ります。在宅勤務で停電中もPCを使いたい人、冬の停電で電気毛布を使いたい人、停電が長引きやすい地域に住む人は、ポータブル電源があると困る場面を減らせます。
冷蔵庫を動かすには何Wh必要ですか
冷蔵庫はコンプレッサーが動くときの消費電力が大きく、機種によって差があるため、取扱説明書の消費電力と年間消費電力量から計算する必要があります。一般に大きな容量と定格出力が必要になり、一人暮らしの部屋では重さと置き場所の負担が大きくなります。停電中は冷蔵庫を開け閉めしない、保冷剤を冷凍庫に入れておくなどの工夫と組み合わせるのが現実的です。
ポータブル電源はずっと充電したまま(コンセントにつないだまま)でいいですか
機種によって扱いが異なります。つないだまま使える機能を案内している機種もあれば、満充電後は外すよう案内している機種もあります。取扱説明書の指示に従ってください。
ベランダで充電・保管してもいいですか
保管は室内にしてください。直射日光や雨で保管温度の範囲を外れる可能性があり、ベランダは避難経路でもあります。ソーラーパネルで充電するときだけ一時的に使う形にします。
中古やセール品のポータブル電源を買っても大丈夫ですか
中古品は、電池の劣化状態(何回充放電したか)や保管状態が分からず、メーカー保証の対象外になることもあります。防災用として長く置いておく物なので、保証期間とサポート窓口がはっきりしている新品を選び、セール品の場合も型番と保証条件を確認してから購入するほうが安心です。
古くなったポータブル電源はどう捨てればいいですか
リチウムイオン電池を内蔵しているため、一般のごみとして出せない自治体が多くあります。メーカーの回収サービスや自治体の案内を確認してください。

まとめ

一人暮らしのポータブル電源は、スマホ・ライト・ラジオ中心なら300Wh前後、ノートPCや電気毛布も使うなら500〜700Whが目安です。「容量×0.8÷消費電力」で使える時間を計算し、コンセントの家電を使うならAC出力の有無を確認します。重さは容量とともに大きく増えるため、置き場所(床・デスク下・ベッド横)を決めてから選び、保管中は3か月に1回程度の残量確認を習慣にしてください。