この記事の結論
- 2024年4月1日施行で、求人の募集時に明示する労働条件に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」の3項目が追加されました(厚生労働省資料、確認日 2026-10-29)
- 「変更の範囲」は、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など契約期間中の見込みを含む範囲です
- AIで求人票を下書きする場合、この3項目は求人側が決めた事実を人が入力します。AIが一般的な文面で補うと、実態とずれるおそれがあります
30秒で判断:求人票の3項目は書けているか
- 業務内容が「営業」「事務」だけで、将来の異動の範囲が書かれていない → 「変更の範囲」を追加する
- 勤務地が1か所だけで、転勤・テレワークの可能性が書かれていない → 就業場所の変更の範囲を追加する
- 有期契約で、更新の有無だけ書いて判断基準と上限がない → 更新の基準と、上限があればその内容を追加する
- AIに求人票を下書きさせる予定 → 先に入力シート(後述)を人が埋める
「求人票 AI 作成 労働条件 明示 変更の範囲 更新上限 書き方」と調べている方は、AIで求人票の下書きを作りたいが、2024年4月から何が追加されたのかを先に押さえたい状況ではないでしょうか。この記事は、厚生労働省の資料に書かれていることだけを使って、追加された3項目と書き方の型を整理します。個別の事案の判断ではありません。SNSなどの広告に載せる6情報はSNSで求人を出すときに必ず載せる6項目の記事、求人票・募集要項に加わった3項目は本記事、という役割分担です。
2024年4月から追加された、募集時の明示3項目とは?
追加された3項目は、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)です。2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、求人企業などが求職者に明示する労働条件に加わりました。(出典:厚生労働省リーフレット(求職者向け・募集時の明示)、厚生労働省 令和6年4月より募集時等に明示すべき事項が追加されます、確認日 2026-10-29)
| 追加された項目 | 資料の記載例(雇入れ直後/変更の範囲) |
|---|---|
| 従事すべき業務の変更の範囲 | (雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般 |
| 就業場所の変更の範囲 | (雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所 |
| 有期契約を更新する場合の基準 | 契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)/通算契約期間は4年を上限とする |
資料では、「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」のような抽象的な書き方ではなく、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」など、具体的に書くことが望ましいとされています。
「変更の範囲」とは何を指しますか?
変更の範囲とは、今後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の変更の範囲のことです。雇入れ直後に限りません。配置転換や在籍型出向の先は含まれ、臨時的な応援業務、出張、研修など一時的な変更先は含まれません。(出典:厚生労働省パンフレット(2024年4月からの労働条件明示事項等)、確認日 2026-10-29)
就業場所や業務に限定がないときは、どう書きますか?
限定がない場合は、すべての就業場所・業務を含める必要があります。資料には、「会社の定める○○」と書く方法が示されています。変更の範囲を一覧表にして添付する方法も示されていますが、できる限り範囲を明確にし、労使で認識を共有することが重要とされています。
雇用形態別:3項目の書き方の型
次の表は、厚生労働省の資料にある記載例を、雇用形態ごとに当てはめて並べた編集部の整理です。文言は資料の例のとおりで、実際に書く内容は自社の実態に合わせてください。「変更なし」の場合も、雇入れ直後と変更の範囲の両方に書くのが基本です。
| 雇用形態 | 業務の変更の範囲 | 就業場所の変更の範囲 | 更新の基準・上限 |
|---|---|---|---|
| 正社員(期間の定めなし) | (雇入れ直後)広告営業 (変更の範囲)会社内での全ての業務 | (雇入れ直後)仙台営業所 (変更の範囲)会社の定める営業所 | 期間の定めがないため、更新の基準・上限の欄は対象外(有期契約の事項) |
| 有期のパート・アルバイト | (雇入れ直後)ピッキング、商品補充 (変更の範囲)雇入れ直後の従事すべき業務と同じ | (雇入れ直後)旭川センター (変更の範囲)旭川センター | 契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)/通算契約期間は4年を上限とする |
| 契約社員 | (雇入れ直後)運送 (変更の範囲)運送及び運行管理 | (雇入れ直後)東京本社 (変更の範囲)東京本社、大阪支社及び名古屋支社 | 契約の更新 有(自動的に更新する)/契約の更新回数は3回を上限とする |
変更の範囲は、有期契約労働者を含むすべての労働者が対象です。2024年4月1日以降に契約締結・更新する労働者が対象となり、それ以前から契約している労働者にも、明示を検討するとされています。
更新上限を新設・短縮するときは、何が必要ですか?
更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)を新たに設ける場合、または短縮する場合は、その理由を、新設・短縮する前に労働者へ説明することが必要です(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)。短縮の例として、通算契約期間の上限を5年から3年へ、更新回数の上限を3回から1回へ、が挙げられています。上限を撤廃・延長する場合は、この義務の対象外です。(出典:厚生労働省パンフレット(2024年4月からの労働条件明示事項等)、確認日 2026-10-29)
最初の契約時点から更新上限がある場合は、労働者が希望するときに理由を説明することを検討する、とされています。労働基準法施行規則の改正により、労働契約の締結時と有期労働契約の更新ごとにも、変更の範囲や更新上限の書面での明示が必要です。
募集のどのタイミングで明示しますか?
| タイミング | 明示する内容 | 資料の記載 |
|---|---|---|
| 募集時(求人票・募集要項・自社サイト・求人広告) | 少なくとも追加3項目を含む労働条件 | 広告のスペースが足りないなどのやむを得ない場合は「詳細は面談時にお伝えします」などを付し、一部を別のタイミングで明示できる。原則、面接などで最初に接触する時点までに全てを明示 |
| 労働契約の締結時・有期契約の更新時 | 労働条件通知書などで、変更の範囲・更新上限を含めて書面で | 労働基準法施行規則の改正(2024年4月1日以降) |
募集広告などの情報は、掲載した時点を明示するなど、正確かつ最新の内容に保つ義務があるとも書かれています。ハローワークの求人票の記入欄の選択肢については、確認した資料では示されていなかったため、この記事では扱いません。ハローワークの窓口で確認してください。
AIに求人票を下書きさせる前の入力シート
AIは、自社の配置転換の方針や更新の実態を知りません。3項目は、人が決めた事実を入力して渡します。次の表を埋めてから、AIに下書きを依頼します。
| 入力項目 | 人が埋める内容 |
|---|---|
| 雇用形態・契約期間 | 正社員/有期(期間の始期と終期) |
| 雇入れ直後の業務 | 最初に担当する業務 |
| 業務の変更の範囲 | 契約期間中に想定される業務の範囲。限定がなければ「会社の定める業務」等 |
| 雇入れ直後の就業場所 | 最初の勤務地(テレワークの場所を含む) |
| 就業場所の変更の範囲 | 転勤・異動の範囲。限定がなければ「会社の定める場所」等 |
| 契約の更新の有無 | 有/無 |
| 更新の判断基準 | 具体的な基準(抽象的な表現のみにしない) |
| 更新上限 | 通算契約期間の上限、更新回数の上限(ある場合) |
| 上限を新設・短縮した場合 | 理由を事前に説明済みか(記録を残す) |
AIの出力を、人が照合するチェックリスト
下書きができたら、入力シートと見比べて次を確認します。確認は人が行い、一つでも合わなければ書き直します。
- 「雇入れ直後」と「変更の範囲」が、別々に書かれているか
- 変更の範囲が「諸般の事情により」のような抽象的な表現だけになっていないか
- 更新の基準が具体的か。更新上限の数字(年数・回数)が、入力シートや契約の内容と一致しているか
- AIが入力にない条件(手当、賞与、勤務時間、転勤の有無など)を追加していないか
- SNSなどに載せる場合の6情報(6項目の記事)も、投稿側にそろっているか
AI社員に相談できること
AI社員では、中小企業の採用・発信について、求人票の項目整理や、AIに渡す情報の整理を含めた運用の相談を受け付けています。3項目のような事実は人が決め、AIには文章の整形を任せる、という分担で進める方法を、無料個別相談で一緒に整理できます。法律上の判断は専門家への確認を前提にしています。
よくある質問
変更の範囲が、採用時点ではまだ決まっていません。
変更の範囲は、将来の見込みも含めて書きます。限定がない場合は、「会社の定める営業所」「会社の定める業務」のように書く方法が資料に示されています。ただし、できる限り範囲を明確にすることが望ましいとされています。
すでに働いている従業員にも、明示が必要ですか。
必要になるのは2024年4月1日以降に契約を締結・更新する労働者です。それ以前からの契約でも、明示を検討するとされています。
更新上限がない場合は、どう書けばよいですか。
資料では、更新上限がある場合にその内容を明示するとされています。上限がない場合の書き方は、確認した資料では示されていなかったため、労働局やハローワークにご確認ください。
求人票の3項目を、AIにすべて任せてよいですか。
3項目は求人側が決める事実なので、人が入力シートを埋めて渡し、出力を人が照合する流れにしてください。AIは文章の整形に使い、内容の確認は人が行います。
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