この記事の結論
- 採用動画の制作費用は、内容と対応範囲によって20万円台から150万円以上まで大きく変わります。金額だけを比較するのではなく、「何が料金に含まれているか」を先に確認します
- 会社を比較する軸は6つ。①実績(自社と近い業種・規模)②対応範囲(企画〜SNS書き出しまで一括か)③企画のヒアリングの深さ④公開後の使い方まで設計してくれるか⑤見積もりの透明性⑥継続更新のしやすさ、です
- 「安さ」や「実績の多さ」だけで選ぶと、完成後にSNS用のサイズがない・出演者が退社して使えないといった失敗につながります。依頼前に目的を1つに絞ることが、会社選びより先にやるべきことです
採用動画を作ろうと決めたあと、多くの中小企業の担当者が最初に検索するのは「制作会社 比較」や「費用相場」です。しかし、比較サイトに並ぶ制作会社は数十社あり、料金表の見た目も似ているため、結局「なんとなく良さそうな会社」で決めてしまうことが少なくありません。その結果、完成した動画がSNSで使えるサイズになっていなかったり、出演した社員が退職して来年には使いにくくなったりという、依頼後に気づく失敗が起きます。この記事は、依頼前に確認しておきたい費用の内訳と、会社を比較するための6つの軸を整理したものです。
依頼する前に、動画で解決したいことを1つに決める
制作会社に「良い採用動画を作ってください」と伝えるだけでは、提案も見積もりも会社によってバラバラになります。まず、次のうちどれを解決したいのかを1つ選んでください。
- 認知: 会社名を知らない学生・求職者に、初めて存在を知ってもらう
- 母集団の質: 応募数は足りているが、自社に合わない応募が多い
- 内定承諾率: 内定は出せているが、他社に流れてしまう
- 入社後のミスマッチ削減: 「思っていた仕事と違った」という早期離職を減らす
目的が変わると、撮るべき内容も、動画を見せるタイミングも変わります。目的を決めずに依頼すると、制作会社は当たり障りのない「会社紹介動画」を提案しがちで、結果的にどの課題にも刺さらない動画になりやすくなります。
依頼前に社内で決めておく4つのこと
制作会社に相談する前に、社内で次の4つを決めておくと、初回の打ち合わせがスムーズになり、見積もりの精度も上がります。
| 決めておくこと | なぜ必要か |
|---|---|
| 予算の上限 | 先に伝えることで、予算に合わせた構成案を最初から提案してもらえる。伝えないと予算超えの提案が出て、やり直しになりやすい |
| 社内の決裁者・確認フロー | 初稿確認のたびに社内で意見がまとまらないと、修正回数の上限をすぐに使い切ってしまう |
| 出演可能な社員のリスト | 顔出し可否・撮影可能な日程を先に把握しておくと、撮影日程の調整が早くなる |
| 希望する公開開始日 | 逆算して依頼のタイミングを決める。説明会や求人媒体の掲載開始日に間に合わないケースは、この確認不足が原因になりやすい |
特に「予算の上限」を先に伝えることに抵抗がある担当者もいますが、伝えないほうが結果的に、予算に合わない提案を精査する時間がかかります。
費用相場 — 何にお金がかかるのか
採用動画の費用は、撮影の規模と編集の作り込みで大きく変わります。中小企業が依頼する場合、次のような価格帯に分かれることが一般的です(個別の見積もりで前後します。あくまで目安としてご確認ください)。
| タイプ | 内容の目安 | 費用の目安 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 簡易インタビュー型 | 社員1〜2名への質問形式の撮影+簡易編集、半日撮影 | 20万円台〜50万円台 | まずは1本作って反応を見たい |
| 企画構成型 | 台本・構成を作り込み、複数シーン・複数職種を撮影 | 50万円台〜100万円前後 | 複数の職種・部署を紹介したい |
| 本格制作型 | 複数拠点・演出カット・ナレーション収録込み | 100万円〜150万円以上 | 新卒採用の主力コンテンツにしたい |
| スマホ撮影・軽編集型 | 簡易な機材での撮影、編集のみ外部委託 | 10万円台〜30万円台 | 予算を抑えて本数を作りたい |
金額の差は、主に次の要素の合計で生まれます。企画構成費(ヒアリング・台本作成)、撮影費(人数・日数・機材・出演者の手当)、編集費(尺の長さ・カット数・テロップ・BGM・カラー調整)、修正対応の回数、SNS用への比率変換や切り出し(正方形・縦長への再編集)です。見積もりを見るときは、この5項目のうちどこまでが基本料金に含まれ、どこからが追加料金かを必ず確認してください。
中小企業が比較すべき6つの軸
見積もりの金額だけを並べて比較すると、対応範囲の違いに気づかず「安いはずが結局高くついた」ということが起きます。次の6つの軸で、金額以外の条件も揃えてから比較します。
| # | 軸 | 確認する質問 | 見るポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 実績 | 自社と近い業種・規模の制作実績はありますか | 建設業・製造業など「地味な業種」の実績があるか。大企業向けの実績しかない会社は、予算感も企画の前提も合わないことがある |
| 2 | 対応範囲 | 企画からSNS書き出しまで、どこまでを一括で対応しますか | 撮影・編集だけで、SNS用の再編集が別会社・別料金になっていないか |
| 3 | 企画力 | 初回のヒアリングで、会社の課題や学生の見ている点まで聞かれますか | 「何を撮りたいですか」しか聞かれない会社は、テンプレート的な提案になりやすい |
| 4 | 公開後の設計 | 採用サイト・説明会・SNSでの使い方まで一緒に考えてくれますか | 「納品して終わり」か、公開後の使い道まで提案があるかで、動画の使われ方が変わる |
| 5 | 見積もりの透明性 | 修正回数・追加撮影・権利関係が見積書に明記されていますか | 「一式」表記だけで内訳がない見積もりは、後から追加費用が発生しやすい |
| 6 | 継続更新のしやすさ | 次回以降、同じ体制で低コストに追加撮影できますか | 1本ごとに単発扱いの会社が多く、翌年も同額かかることが多い点は事前に確認しておく |
依頼先のタイプ別 — 4つの選択肢と向き不向き
「採用動画 制作会社」で検索すると、規模も業態も異なる会社が同じ比較サイトに並びます。金額の前に、どのタイプの依頼先かを見分けておくと、期待とのズレが減ります。
| タイプ | 特徴 | 費用感 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 広告代理店系 | 企画・ブランディングの提案力が高いが、撮影・編集は協力会社に外部委託することが多い | 高め(企画料が加算されやすい) | 複数媒体を巻き込んだ大掛かりな展開をしたい |
| 動画専門プロダクション | 撮影・編集を自社スタッフで対応。クオリティが安定しやすい | 中〜高(規模により幅がある) | 映像のクオリティを重視したい |
| フリーランス・個人クリエイター | 費用は抑えられるが、担当が1人のため日程の融通や体制面に限りがある場合がある | 低め | 予算が限られ、担当者と直接やり取りしたい |
| 中小企業特化型の制作会社 | 予算感・企画の前提が中小企業に近く、進行がパッケージ化されていることが多い | 低〜中 | 初めて採用動画を作る、予算の目安をつかみたい |
どのタイプが正解ということはなく、目的と予算に合わせて選びます。ただし、フリーランスや個人に依頼する場合は、担当者が病気や多忙で対応できなくなったときの代替体制があるかを、契約前に確認しておくと安心です。逆に、広告代理店系や大手のプロダクションに依頼する場合は、実際に撮影・編集を担当するのが提案してきた担当者本人なのか、外部の協力会社なのかも聞いておくと、企画時の説明と仕上がりの差を防げます。
相見積もりで見るべきポイント
制作会社は最低でも2〜3社から見積もりを取ります。ただし、条件をそろえないと比較になりません。次を全社に同じ形で伝えてから見積もりを依頼してください。
- 目的(前述の4つのうちどれか)と、想定の尺・本数
- 撮影可能な日数・拠点数・出演予定の人数
- 納品後にSNS用への再編集が必要かどうか
- 修正は何回まで基本料金に含まれるか
- 納品データの著作権・二次利用権は誰に帰属するか
この5点を同条件で聞くと、見積書の金額差が「対応範囲の差」なのか「単純な値付けの差」なのかが分かります。金額が最も安い会社が、必ずしも総費用として安いとは限りません。
依頼から公開までの流れ(目安)
制作会社によって差はありますが、一般的な流れと期間感は次の通りです。
| 工程 | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ヒアリング・企画 | 目的の確認、構成案・台本の作成 | 1〜2週間 |
| 撮影準備 | 出演者の調整、撮影場所・スケジュールの確定 | 1週間前後 |
| 撮影 | 半日〜数日(拠点数・カット数による) | 1日〜数日 |
| 編集・初稿確認 | 編集、テロップ・BGM付け、初稿の確認 | 2〜3週間 |
| 修正・納品 | 修正対応後、各SNS用データも含めて納品 | 1〜2週間 |
合計すると、依頼から公開まで3〜8週間程度が目安です。学校説明会や求人サイトの掲載開始に合わせたい場合は、逆算して2か月以上前には依頼を始めることをお勧めします。急ぎで公開したい場合、多くの制作会社は特急対応を受けてくれますが、修正回数が減る・追加料金が発生するなど、条件が変わることが一般的です。急ぎになりそうな場合は、その旨を見積もり依頼の時点で伝え、通常進行との条件の差を確認しておいてください。
依頼後によくある失敗パターン
制作会社の腕前ではなく、依頼の仕方が原因で起きる失敗が多くあります。事前に知っておくと避けやすくなります。
- SNS用のサイズ・尺で書き出されていない: 採用サイト用の16:9のみで納品され、Instagramの正方形・縦長には別料金で再編集が必要だった
- 出演した社員が退職して使いにくくなる: 特定の社員に依存した構成にすると、退職のたびに撮り直しの検討が必要になる
- 1本作って終わり、更新されない: 完成後の運用設計がないまま、翌年も同じ動画を使い続け、古さが目立つ
- テンプレート的な構成で自社らしさが出ない: 汎用的な「会社紹介動画」の型に沿うだけで、他社の採用動画と似た印象になる
- 条件面の説明に終始し、雰囲気が伝わらない: 給与や休日を並べるだけの動画は、求人票との差別化にならない
動画は「作って終わり」ではなく、公開先の設計とセット
採用動画は、完成した瞬間に成果が出るものではありません。採用サイトのトップに置くだけでは、そもそも見てもらえる機会が限られます。SNSへの切り出し、説明会での上映、面接前の候補者への送付など、公開先を複数用意してはじめて視聴数が積み上がります。媒体ごとの向き不向きは媒体別ショート動画の使い分けを参照してください。撮る内容そのものに迷う場合は新卒採用動画、中小企業は何を撮ればいいかで予算別に整理しています。
1本の外注では終わらせたくない場合の選択肢
制作会社への依頼は、基本的に「1本ごとの単発発注」です。翌年また新しい動画が欲しくなったとき、同じ規模の費用が再度かかります。継続的に発信を作り続けたい場合は、AIキャラクターが投稿の下書きを作り、人は確認と承認だけを行うAI社員のような、制作会社への発注とは別の選択肢もあります。動画1本ごとの完成度では専門の制作会社に及びませんが、「毎週・毎月、少しずつ発信を積み上げる」役割は、単発の制作会社では担いにくい部分です。節目の採用動画は制作会社に、日常の発信はAI社員に任せる、という分担も検討できます。制作サービスを選ぶときの一般的な基準はAI社員の制作を依頼する前に読む完全ガイドにまとめています。まずは無料個別相談で、御社の予算感でどこまでできるかをご相談ください。
よくある質問
Q. 撮影は1日で終わりますか。
簡易インタビュー型であれば半日〜1日で収まることが多いです。複数拠点・複数職種を撮る企画構成型以上になると、撮影日が複数日に分かれることがあります。見積もり時に撮影日数の想定を必ず確認してください。
Q. 出演する社員がいない、または顔出しNGの社員が多い場合はどうすればいいですか。
手元・後ろ姿・声だけの構成でも採用動画は成立します。顔出しが難しい場合はその旨を早い段階で制作会社に伝え、構成案に反映してもらってください。全員の同意を前提に、途中で出演をやめたい場合の対応も事前に確認しておくと安心です。
Q. スマホ撮影でも依頼できますか。予算を抑えたいです。
スマホ撮影・軽編集型を扱う制作会社もあります。画質よりも「今の会社の雰囲気がそのまま伝わること」を重視するなら、演出を抑えたスマホ撮影は選択肢になります。ただし編集のクオリティは会社ごとに差が大きいため、過去の制作物を必ず見せてもらってください。
Q. 完成した動画の権利は誰のものになりますか。
多くの場合、納品後の使用権は発注側に移りますが、素材データ(未編集の撮影データ)の扱いや、制作会社のポートフォリオへの掲載可否は契約によって異なります。見積もり段階で、権利の範囲を契約書に明記してもらってください。
Q. 完成後に、SNS用のサイズへ再編集してもらえますか。
対応可能な会社が多いですが、基本料金に含まれるか追加料金になるかは会社ごとに差があります。依頼時点で「SNSに切り出す予定がある」と伝え、見積もりに含めてもらうのが確実です。
Q. 制作会社を変えずに、毎年少しずつ動画を追加してもらうことはできますか。
継続発注を前提とした年間契約プランを持つ制作会社もあります。単発発注より1本あたりの単価が下がることもあるため、複数年での利用を検討している場合は最初の見積もり時に相談してみてください。
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