退去費用・原状回復
ペット可 賃貸 退去費用 経年劣化 6年|入居年数別の負担割合の早見表と計算式
30秒で判断
- ガイドラインは、壁のクロスやカーペット等について、6年で残存価値が1円となる直線(または曲線)を想定して借主の負担割合を算定するとしている
- 直線的に減る考え方で計算すると、入居から1年ごとに負担割合は約17ポイントずつ下がる。この表は計算例であり、実際の請求額ではない
- フローリングの部分補修や畳表などは経過年数を考慮しないとされ、クロスとは扱いが異なる。補修の単位は、毀損部分の補修が可能な最低限度の施工単位が基本
ペット可の賃貸で退去が近づくと、「何年住むと壁紙などの負担が小さくなるのか」が気になります。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」には、経過年数に応じて借主の負担割合を減らす考え方があります。この記事では、その考え方を入居年数ごとの早見表と計算式にし、部位ごとの違いと補修の単位を整理します。表の数字は計算例であり、実際の請求額ではありません。個別の請求の是非や交渉の進め方は扱いません。確認日は2026-10-29です。
ガイドラインの「6年で残存価値1円」とは、どんな考え方ですか。
「6年で残存価値1円」とは、壁のクロスやカーペットなどの価値が、新品の状態から6年かけて1円になるまで減っていくとみなし、その減り方に合わせて借主の負担割合を小さくする考え方です。ガイドラインは、借主に負担が生じる場合でも、経過年数が長いほど負担割合を減らすのが適当だとしています。経年変化や通常損耗の分は、借主が賃料として支払ってきたものであり、退去時に重ねて負担させると二重に評価されることになる、という理由が書かれています。
ガイドラインは、減価の考え方を法人税法の減価償却資産の考え方から採用しています。平成19年の税制改正で残存価値が廃止され、耐用年数の経過時に残存簿価1円まで償却できるようになったことを踏まえ、たとえばカーペットでは、6年で残存価値1円となる直線(または曲線)を描いて経過年数により借主の負担を決める、と説明しています。最終残存価値は1円で、借主の負担割合は最低1円とされています。
入居年数ごとの借主負担割合は、どのくらいになりますか。
ガイドラインは、経過年数を入居年数で代替する方式を採用しています。入居時の価値を100%とし、6年で1円になる直線を仮定すると、負担割合は次の式で近似できます。
負担割合(%)=(1 − 入居年数 ÷ 6)× 100(6年以上は、最低1円)
この式で計算した早見表が次のとおりです。出発点が100%(新築や張替え直後に入居)の場合の計算例で、直線的に減る考え方で計算しています。ガイドラインには曲線の考え方も併記されているため、実際の割合と一致するとは限りません。
| 入居年数 | 借主負担割合(計算例) | 仮に補修費用が2万円だった場合の計算例 |
|---|---|---|
| 0年(入居直後) | 100% | 20,000円 |
| 1年 | 約83% | 約16,700円 |
| 2年 | 約67% | 約13,300円 |
| 3年 | 50% | 10,000円 |
| 4年 | 約33% | 約6,700円 |
| 5年 | 約17% | 約3,300円 |
| 6年以上 | 最低1円(計算上ほぼ0%) | 1円(最低) |
この表は、ガイドラインの考え方に基づく計算例であり、実際の請求額ではありません。補修費用の「2万円」は計算を見せるための仮の数字で、実際の単価や金額を示すものではありません。実際の負担割合は、契約書の特約、入居時の状態、補修が必要な範囲によって変わります。
入居時にすでに壁紙が古かった場合、早見表はどうずれますか。
ガイドラインは、入居時点の設備等の状況は必ずしも価値100%のものばかりではないため、その状況に合わせてグラフを下方(図では左方)にずらして使うとしています。入居直前に交換や張替えをした場合は100%が出発点で、そうでない場合は、建築後の経過年数や個々の損耗などを勘案して、1円を下限に適宜グラフを決めるとされています。出発点をどこにするかは、契約当事者が確認のうえ、あらかじめ協議して決めることが適当だとされています。
たとえば、出発点が50%で、同じ傾きで下がると仮定すると、計算上は入居から3年で1円に近づきます。これも仮定にもとづく計算例です。出発点の決め方によって早見表の値は変わるため、入居時に壁の状態を写真や確認リストで記録しておく意味があります。ガイドラインは、入居時と退去時に当事者が立会いのうえ物件の状況を確認し、平面図への記入や写真を併用することが重要だとしています。
部位によって、6年の考え方はどう違いますか。
経過年数を考慮するかどうか、補修の単位をどうするかは、部位ごとに違います。ガイドラインの別表2(賃借人の負担単位)から確認できた内容は次のとおりです。
| 部位 | 経過年数の考慮 | 負担単位(別表2) |
|---|---|---|
| 壁・天井(クロス) | 6年で残存価値1円となる負担割合を算定 | ㎡単位が望ましい。毀損箇所を含む一面分までは借主負担としてもやむをえないとされる |
| カーペット・クッションフロア | 6年で残存価値1円となる負担割合を算定 | 毀損等が複数箇所の場合は、居室全体 |
| フローリング(部分補修) | 経過年数は考慮しない | 原則㎡単位 |
| フローリング(全体を張り替える場合) | 建物の耐用年数で残存価値1円となる負担割合を算定 | 全体の張替え |
| 畳表 | 経過年数は考慮しない | 原則一枚単位 |
| 襖紙 | 経過年数は考慮しない | 襖1枚単位 |
| 柱 | 経過年数は考慮しない | 柱1本単位 |
| 設備機器 | 耐用年数経過時点で残存価値1円となる直線(または曲線)を想定 | 補修部分、交換相当費用 |
この表のとおり、壁クロスとカーペットは6年の考え方を使いますが、フローリングの部分補修や畳表、襖紙、柱は経過年数を考慮しません。フローリングについては、部分補修をしても将来的には全体を張り替えるのが一般的で、部分補修で床全体の価値が高まるわけではないため、経過年数を考慮する必要がないと説明されています。フローリングの扱いは関連記事の「猫 フローリング 傷 賃貸」で、壁紙の記載は「賃貸 猫 壁紙 退去費用」で整理しています。
「最小単位」とは、どう考えますか。
ガイドラインは、原状回復は毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本としています。借主に原状回復義務がある場合の費用も、補修工事が最低限可能な施工単位に基づく補修費用相当分が、負担対象範囲の基本になります。
一方で、クロスのように、毀損箇所が一部でも色や模様をそろえないと商品価値を維持できない部位では、毀損部分と補修箇所にギャップが生じます。ガイドラインは、部屋全体のクロスの張替えを借主の義務とすると貸主が原状回復以上の利益を得ることになり妥当ではないとしつつ、毀損部分だけの張替えでは境目が判別できる状態になりうるため、毀損箇所を含む一面分の張替費用を借主の負担とすることが妥当と考えられるとしています。そのうえで、このように負担範囲を広げても経過年数を考慮すれば金銭的な負担は不当なものにならないと考えられる、と書かれています。
つまり、負担の大きさは「どこまでを補修の単位とするか(範囲)」と「何年住んだか(割合)」の掛け合わせで考えます。部屋全体の色や模様をそろえる費用は、借主の負担とはしない考え方が示されています。
6年を過ぎれば、費用はかからないのですか。
ガイドラインは、6年を過ぎれば必ず無料とは述べていません。経過年数を超えた設備等であっても、借主は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っているとされています。継続して賃貸住宅の設備等として使用できる状態のものを、借主が故意・過失により破損して使用不能にした場合は、本来機能していた状態まで戻す費用が借主の負担になることがあるとされています。その例として、ガイドラインは、借主がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費など)を挙げています。
また、契約書に特約があれば、特約の内容が先に問題になります。ガイドラインは、特約が効力を争われないためには、特約の必要性と客観的・合理的な理由があること、借主が通常の原状回復義務を超える義務を負うことを認識していること、借主が義務負担の意思表示をしていることの3つを満たす必要があるとしています。ペット可物件では、クロス張替費用に関する特約が例として挙げられています。特約の有効性は個別の事情で判断されるため、この記事では扱いません。
早見表を使うときの手順は、どうすればよいですか。
- 入居年数を確認する:入居日と退去予定日から、入居年数を数える
- 入居時の出発点を確認する:入居時の確認リスト・写真から、壁紙が新しかったかを確認する。出発点が100%でない場合は、早見表をそのまま使えない
- 対象の部位を確認する:クロス・カーペットは6年の考え方、フローリングの部分補修や畳表などは経過年数を考慮しない
- 補修の単位を確認する:見積書の施工範囲が、毀損部分の補修が可能な最低限度の単位か、一面分か、確認する
- 契約書の特約を確認する:ペット飼育や原状回復に関する条項と、添付書面の有無を見る
- 費用の内訳を確認する:ガイドラインのQ&Aには、貸主には説明義務があり、借主は明細を請求できるという趣旨の記載がある
請求に納得できないときの相談先はどこですか。
ガイドラインは、賃貸住宅にかかる相談・苦情処理は、地方公共団体の相談窓口や消費生活センターなどの行政機関が行っていると案内しています。行政機関は当事者間の利害について判断を下すことはできないものの、助言やあっせん、制度の情報提供を行っています。個別の請求への対応は、この記事の範囲を超えます。お住まいの地域の消費生活センターなどの公的な窓口か、弁護士などの専門家に相談してください。
この記事の限界
この記事は、国土交通省のガイドライン(平成23年8月の再改訂版)の記載を紹介するものです。ガイドラインは法的な拘束力を持たず、実際の割合や金額は契約内容と物件の状況で個別に決まります。早見表は、ガイドラインの図(耐用年数6年・定額法)の考え方を直線で計算した例であり、図の読み取り値ではありません。曲線を使う場合の値、特定の物件での出発点の決め方、猫による毀損がどの区分に当たるかは、確認できていません。新しい版が出ていないかは、国土交通省の掲載ページで確認してください。
よくある質問
6年住めば、壁紙の退去費用は0円になりますか。
ガイドラインは壁のクロスについて、6年で残存価値が1円となる負担割合を算定するとしていますが、6年を過ぎれば必ず0円とは書いていません。経過年数を超えていても、継続して使える設備を借主の故意・過失で使えなくした場合は、負担が生じることがあるとされています。
入居年数ごとの借主負担割合は、どう計算しますか。
入居時の価値を100%とし、6年で残存価値が1円になる直線を想定すると、負担割合は「1−入居年数÷6」で近似できます。たとえば3年なら約50%です。これはガイドラインの考え方に基づく計算例であり、実際の請求額や割合は契約内容と物件の状況によります。
入居時にすでに壁紙が古かった場合も、100%から計算しますか。
ガイドラインは、入居時点の設備等の状態に合わせて、グラフの出発点を下方にずらして使うとしています。入居直前に張替えがあれば100%が出発点で、そうでない場合は、建築後の経過年数や個々の損耗などを勘案して、契約当事者が協議のうえ決めることが適当だとされています。
フローリングの傷にも6年の考え方は使われますか。
ガイドラインでは、フローリングの部分補修は経過年数を考慮しないとされています。フローリング全体にわたる毀損で全体を張り替える場合は、建物の耐用年数で残存価値が1円となるような負担割合を算定するとされています。
出典・確認先
記載内容は最終更新日時点で各出典を確認したものです。最新の情報は各メーカー・機関の公式ページでご確認ください。