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広報担当がいない中小企業が、
週1本の発信を止めない方法

「広報は誰の仕事でもない」状態で始めた発信は、3週目で止まります。担当を増やさずに続ける仕組みの作り方です。

この記事の結論

  • 広報担当がいない会社で発信が止まる原因は「毎回ネタを考える」「承認で止まる」「作る時間が取れない」の3つ。人を増やさなくても、この3つは仕組みで消せる
  • 型は「月初に1回、2時間で4本まとめて作る(バッチ制作)→ 承認は社長が1回で4本まとめて見る → 予約投稿」。週ごとに作らないのが最大のコツ
  • ネタは12種のテンプレを回す。下書きはAIに任せ、人は「事実の確認と、自社らしい一言」だけを足す。3か月続けば、採用ページや営業資料に使える素材がたまる

中小企業庁の「中小企業白書」では、中小企業の多くが人手不足を経営課題に挙げており、専任の広報担当を置ける企業はごく一部です(出典: 中小企業庁「中小企業白書」)。実際には、総務や営業、あるいは社長本人が「ついでに」SNSやブログを担当しています。この記事は、その「ついで」の担当者が、週1本の発信を止めずに続けるための型を、時間の使い方まで含めて整理したものです。

なぜ広報担当がいないと発信が止まるのか

止まり方には順番があります。1週目は勢いで投稿できます。2週目は「何を書こう」で30分悩んで、それでも投稿します。3週目に急ぎの仕事が入り、「来週まとめて」と先送りします。4週目には「先週も出していないし」と気が重くなり、そのまま止まります。多くの会社で、この流れがほぼ同じ形で起きます。

原因を分解すると、次の3つに集約されます。

止まる原因起きていること仕組みでの対処
毎回ネタを考える投稿の直前にゼロから考えるので、着手のハードルが高いネタの型を12種決めて、順番に回す
承認で止まる社長や上司の確認待ちで、投稿日が過ぎる月1回、4本まとめて承認。差し戻しの基準を先に決める
作る時間が取れない週の途中で30分〜1時間を確保するのが難しい月初に2時間のブロックを固定し、その場で4本作り切る

3つとも「意欲」の問題ではなく「設計」の問題です。担当者を責めても再発します。以下、順番に設計を変えていきます。

週1本の発信に本当に必要な時間はどれくらいか

1本の投稿(テキスト200〜400字+写真1枚)にかかる時間を分解すると、ネタ決め10分、下書き15分、写真の用意5分、確認・修正10分、投稿設定5分で、慣れれば45分前後です。ここで問題なのは合計時間ではなく、週の途中で45分の空きを4回作ることです。

これを「月初に1回、2時間で4本」に変えると、ネタ決めは一度に4つ選べるので1本あたり3分に、写真は一度に集めるので1本あたり2分に縮み、合計はおよそ100〜120分に収まります。週ごとに作るより短く、かつ「今週は忙しいから」という判断が発生しません。

月初2時間のバッチ制作: 手順

  1. カレンダーに「発信制作」を毎月第1営業日の午後に固定する(15分の準備+2時間)。会議と同じ扱いで、動かさない
  2. ネタ表から今月の4本を選ぶ(10分)。下の12種から、季節や社内の出来事に近いものを4つ。連続で同じ型を使わない
  3. 写真・素材を集める(20分)。社内のチャットに「今月の写真ください」と一斉に投げ、返ってきたものを1つのフォルダに入れる。撮り直しはしない
  4. 下書きを4本つくる(40分)。AIに「型・事実・写真の説明」を渡して下書きを出させ、人が自社の言葉に直す(後述)
  5. 承認に回す(送るだけ・5分)。4本を1つの文書にまとめ、「木曜までに見てください。修正なければそのまま出します」と添える
  6. 予約投稿を4本入れる(15分)。X・Instagram・Facebookページはいずれも予約投稿に対応しています。曜日と時間を固定する

これで担当者の月の作業は、この2時間と、投稿後のコメント確認(週5分)だけになります。

ネタ表: 中小企業が回せる12の型

「今週は何を書こう」を消すための一覧です。会社の規模や業種を問わず使えるものに絞っています。

#書くこと写真
1今日の現場いつもの作業風景に一言。何をしている場面か作業中の手元
2道具・設備使っている道具1つの名前と、何に使うか道具そのもの
3お客様からの質問よく聞かれる質問1つと、その答え関連する製品・現場
4社内の変化新しく入れた設備・変えたルール・始めた取り組み変わった箇所
5数字1つ創業年数・月の出荷数・年間の施工件数など、事実の数字1つ数字に関係する現場
6失敗と対策過去に起きた小さな失敗と、今どう防いでいるか対策後の状態
7季節の仕事この時期に増える仕事・注意していること季節感のある現場
8用語解説業界用語を1つ、素人向けに説明用語の対象物
91日の流れある職種の朝から夕方までを時間で区切って朝礼・昼休み
10採用の一言募集中の職種と、どんな人と働きたいか(条件ではなく場面で)働く人の後ろ姿
11地域会社のある地域の話、地元との関わり周辺・イベント
12お礼月末に、今月の出来事とお礼集合・現場全景

12種を月4本で回すと、3か月で一周します。同じ型でも中身は毎回変わるので、2周目以降も飽きられません。製造業向けにネタをさらに具体化した一覧は製造業の若手採用、SNSで発信するネタ30個にまとめています。

承認で止めない: 社長に「1回で4本」を見てもらう

承認が止まる会社には、共通点があります。投稿ごとに承認を求めている、差し戻しの基準がない、承認者が「発信の目的」を共有していない、の3つです。対策は次の通りです。

「社長の一言を入れたい」という要望が出る場合は、月初の制作時に社長へ「今月ひとこと」を口頭で聞き、それを型12(お礼)に入れると、承認と社長の関与が同時に済みます。

下書きはAIに、判断は人に

4本の下書きを人が書くと40分では終わりません。ここは生成AIに任せ、人は「事実の確認」と「自社らしい一言」だけを担当します。渡す情報は次の3つで十分です。

AIへの依頼の型
「型: 道具・設備 / 事実: 昨年導入した○○(設備名)で、△△の工程が2日から1日になった / 写真: 設備の全景 / 文字数: 250字 / 語調: ですます、専門用語は1つまで / 最後に一言、見学歓迎の案内」

出てきた文章は、必ず人が読んで、(1) 数字と固有名詞が事実と合っているか (2) 会社が言わない言い回しが混ざっていないか、を確認します。AIが書いた「お客様に寄り添う」「想いを込めて」のような定型句は、自社の言葉に置き換えます。この確認と置き換えが、1本あたり5分の「人の仕事」です。

この「AIが下書き、人が確認」の流れをキャラクター付きで運用するのがAI社員の考え方です。キャラクターが投稿の主役になると、「誰が発信するか」の問題も同時に解決します。詳しくはAIキャラクターで発信を始める手順を参照してください。

止まりかけたときの復帰ルール

それでも止まることはあります。決算・繁忙期・担当者の異動です。復帰を楽にするルールを先に決めておきます。

3か月続いたら見えてくるもの

週1本を3か月続けると、投稿は12本たまります。この12本は、SNSの外でも使えます。

たまったもの転用先
現場の写真12枚採用ページの「働く様子」、会社案内の差し替え
お客様の質問と答え(型3)ホームページのFAQ、営業の提案資料
用語解説(型8)新入社員向けの教育資料
社内の変化(型4)金融機関・取引先への近況報告
1日の流れ(型9)求人票の「仕事内容」欄の具体化

発信を「SNSのため」ではなく「会社の情報を月4本、外に出せる形で整理する作業」と捉え直すと、続ける理由がSNSの反応に左右されなくなります。反応の測り方は中小企業の採用がうまくいかない本当の理由の「発信を始めたあとに測る指標」の章を参照してください。

担当者1人に抱えさせないための、社内の役割分担

「兼務1人」で回す型ですが、その1人に全部を背負わせると、異動や退職で止まります。最低限、次の3役を分けておきます。

この分担を朝礼や会議で一度共有し、「写真を送る人」の名前を決めておくと、担当者が毎月「写真ください」と頼む心理的な負担がなくなります。発信を外注するかどうかの判断は発信は外注すべきか自社でやるべきかで整理しています。

よくある質問

Q. 週1本で意味がありますか。毎日投稿しないと伸びないと聞きます。

採用や取引先向けの発信では、「毎日」より「止まっていない」ことが重要です。会社名で検索した人が見るのは最新の投稿日で、週1本でも「先週も動いている会社」に見えます。毎日投稿して3か月で止まるより、週1本を1年続けるほうが、検索した人への印象は確実に良くなります。

Q. 社長が「発信なんて意味がない」と言います。

目的を「集客」ではなく「求職者・取引先が会社名で検索したときの、第一印象の更新」に置き換えて説明してください。自社名で検索し、出てくる情報の最終更新日を一緒に見るのが最も早い説得です。半年以上前の情報しか出てこなければ、その場で理解が得られることが多いです。

Q. 写真を送ってくれる人がいません。

担当者が月初に現場を10分歩いて、その場で3枚撮る方法に切り替えてください。人の顔を入れず、手元・道具・設備だけで12種の型は回ります。同じ写真を型を変えて再利用しても問題ありません。

Q. 文章が下手で、書くのに時間がかかります。

下書きはAIに任せ、人は事実の確認だけをする分担にすると、文章力は不要になります。「うまい文章」より「事実と、自社の言葉」が伝わることが優先です。250字を超えないと決めると、悩む時間も減ります。

Q. どの媒体で始めればいいですか。

求職者向けならInstagram、取引先向けならFacebookページかX、地域向けならGoogleビジネスプロフィールの投稿です。迷うなら、まず1つに絞り、同じ投稿を他の媒体にも転載する形で広げます。媒体ごとの向き不向きは媒体別ショート動画の使い分けを参照してください。

Q. 担当者が異動になったら、また止まりませんか。

止まりにくくするために、ネタ表・過去の投稿・予約投稿の設定画面の3つを引き継ぐと決めておいてください。それでも人に依存する部分は残るので、下書きの作成をAIやキャラクターに移して「人が変わっても発信の主役は変わらない」形にするのが、根本的な対策になります。

本記事は発信体制の一般的な考え方の整理であり、特定の成果を保証するものではありません。投稿には、写り込む人・取引先・現場の許可確認と、未発表情報・個人情報の扱いに関する社内ルールの順守が必要です。

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